新型コロナウイルス感染症が日本においても拡大する中で、日医は2月21日に都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会を、テレビ会議システムを利用して急きょ開催した。
冒頭あいさつした横倉義武会長は本協議会について、「日医の取り組みを直接説明するとともに、都道府県医師会からも意見を聞く機会とするため、急きょ開催した」と開催趣旨を説明。「新型コロナウイルスは依然として分からないことの多いウイルスであるが、医療界の総力を挙げて国民の生命と健康を守っていきたいと考えているので、引き続きの協力をお願いしたい」と述べた。
その後は、まず、釜萢敏常任理事がこれまでの日医の主な取り組みや現時点の患者像〔①無症状~軽症の人が多い②発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い③高齢者・基礎疾患保有者は重篤になる可能性が高い〕等を説明。今後必要な対応としては、「マスク、消毒薬等の医療資器材の確保」「肺炎重症化対策(PCR検査の対象の整理)」「一般医療機関における感染予防」「学校、職場における対応の整理」を挙げ、「感染を蔓延期に移行させないためにも、この1~2週間が大変重要な時期になる」と強調。引き続きの協力を求めた。
石川広己常任理事は、国からの要請の下、大黒ふ頭に停泊中であったクルーズ船にJMATを派遣したことを報告。2月14~20日までの間、JMATには新型コロナウイルス感染症の症状が見られない方達のヘルスチェックをしてもらったとするとともに、日医としても万が一に備えて、日本環境感染学会の専門家の先生方とも連携を図るなどの対応をとったことなどを紹介し、「今回の派遣に協力頂いた医師会に改めて感謝申し上げたい」と述べた。
その後の協議では、都道府県医師会から、「PCR検査が実施される前にインフルエンザの除外診断を行った一般の医療機関の医師が感染してしまう危険もあることを踏まえた行政検査のあり方の見直し」「多くの方にPCR検査を実施するため、関西国際空港の検疫所等を活用すること」「診療報酬の算定要件となっている講習会が延期された場合の対応」などを求める意見や、新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者に診療を行った医療機関の風評被害や、診療しなかった場合に受診拒否にならないのかといった懸念が示された。
これに対して、釜萢常任理事は「本日頂いた意見を国にしっかり伝え、対応していきたい」と述べた他、各地の感染状況を踏まえ、都道府県行政とも連携して対応して欲しいとした。
また、松本吉郎常任理事は、電話による健康相談は医療機関で可能であり、本年4月1日から、電話等による再診の際、治療上の必要性から救急医療機関の受診を指示した上で診療情報の提供を行った場合には、診療情報提供料Ⅰが算定できることになっていることなどを紹介した。