釜萢敏常任理事は、3月18日の定例記者会見で、医療関係者検討委員会(委員長:近藤稔大分県医師会長)が、会長諮問「(1)准看護師の活用推進と今後の対策、(2)医療・介護人材の国際化の流れについて」に対する答申を取りまとめ、横倉義武会長に提出したことを報告するとともに、その概要を説明した。
(1)では、准看護師養成所の経営について、全国的に准看護師養成所の応募者・入学者が減少し、経営的にも維持が困難な状況の中で、医師会立養成所は閉校傾向が続いていることを踏まえ、これまでの市町村等からの補助金など、地域からの支援や、医師会の直接的な支援あるいは人的な役割の提供に加えて、今後は、他の医療関係職種の教育機関との連携や高校など関係機関との協力が不可欠であると指摘。
具体的には、複数の養成所で、テレカンファレンスシステムを利用した授業を行う他、実習についても、実習調整機能を統合し、同一病棟での受け入れ人数を増やして、教員指導者の相互乗り入れを可能とする「共同運営方式」を提案している。
また、現行の准看護師制度については、准看護師が衿持を持って働くことができるような資格の在り方、活躍の場の拡大が必要であるとして、1.准看護師養成所の入学資格を高校卒業程度とする、2.准看護師資格を国家資格に格上げする―ことを提案。加えて、准看護師資格の付加価値を向上させるために、「日本版ラヒホイタヤ」の創設を提言した他、介護現場や保育所、障害児施設など、准看護師の働く場も多様化しており、その活用を推進することは社会的意義が大きいとしている。
(2)では、1.外国人の医療・介護人材を必要とする背景、2.医療・介護分野での外国人材受け入れに関する制度、3.日本人の人材をどう活用するか~プラチナ人材―について言及。人口減少の中、国の方針として外国人労働者の受け入れ拡大が図られている中で、日本の賃金水準が魅力的ではなくなってきていること、また、医療・介護は高い日本語能力や書類作成能力が求められるため、相対的に賃金、待遇がよい他業種に流れていると指摘。
今後については、どの国にも高齢社会が訪れることから、看護や介護を学ぶという認識をもってもらうこと、受け入れ側においても、単なる人手不足の補充という考えではなく、就業中の継続的な日本語学習と技能獲得への支援を行い、継続的な受け入れにつなげることが重要になると指摘。その一方で、外国人材に頼るだけでなく、日本人で定年を迎えた看護師や准看護師、介護福祉士に"プラチナ人材"として医療・介護の現場で引き続き働いてもらうことこそが、少子・高齢社会、人口減少社会での「働き方改革」・「生涯現役社会」づくりにとっても必要なことであるとしている。
今回の答申取りまとめを受けて釜萢常任理事は、「これから准看護師を目指す方々が、魅力を感じ、積極的に携わっていこうと考えてもらえるような仕組みづくりが必要である」との考えを示すとともに、「将来に向けた看護職の確保は重要であることから、引き続き医師会立の准看護師養成所等の経営の課題などに対して、日医としても、積極的に対応していきたい」と述べた。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会地域医療課 TEL03-3946-2121(代)