第3回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会3月13日に、テレビ会議システムを利用して、日医会館会議室でそれぞれ開催された。
冒頭あいさつした横倉会長は、医療現場においてマスクや防護具が不足している現状について触れ、「加藤勝信厚生労働大臣に早急な配備を求める要望書を同日に提出した」「自治体が保有していた250万枚のマスクが医療機関等に優先的に配布される他、厚労省でも1,500万枚を購入し、配布予定である」―ことなどを説明。この問題は、近々解決するのではないかとの見通しを示した。
引き続き、釜萢常任理事が、(1)専門家会議の「見解」、(2)地域における帰国者・接触者相談センターに対する支援体制の構築、(3)新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点に―ついて解説した。
(1)では、3月9日時点での日本の現状に対する専門家会議の見解は「何とか持ちこたえている」ということであったが、12日の非公式会議では、これよりも厳しい状況にあるとの認識になっていることを紹介。(2)では、具体的な支援案として、「○○医師会新型コロナ受診相談窓口(仮称)」を設置し、電話相談によるトリアージを行うことなどを挙げ、各自治体と協議し、各地の状況にあった対応をして欲しいとした。
(3)については、標準予防策や濃厚接触者について示した厚労省の事務連絡を踏まえて、マスクや防護具が不足している現状では、例えば、インフルエンザなどの場合には検査をせず、臨床診断にて治療薬を処方することを検討することなどを求める通知を出したことなどを説明した。
小玉弘之常任理事は、国から配布されるマスクに関して、「適正な配分がなされるよう、都道府県に働き掛けてもらいたい」と述べるとともに、日医が実施している「医療機関に対するマスク等の安定供給に向けた緊急調査」への協力を求めた。
「医療機関における休業補償等」については、城守常任理事が雇用調整助成金の特例の活用を紹介し、この問題については、羽生俊参議院議員が国の対応を求める質問をする予定であることを説明。更に、民間の休業補償保険が存在しないことから、その創設を国に要望していく考えを示した。
小玉常任理事は、新型コロナウイルス感染症により機能停止等となった医療機関係施設等に対して、福祉医療機構が行っている融資の拡充が行われていること、納税が困難になった場合の猶予制度があることなどを紹介。松本常任理事は、診療報酬上、算定要件が満たせなくなった場合の対応について、被災地特例と同じ扱いになることを説明した。
「集中治療室に係る情報のネットワーク化」については、石川広己常任理事が人工呼吸器やECMO装置の使い方について、都道府県、医師会、ICUやDMAT関係者等が参加した協議の場を設置することを提案した。
長島公之常任理事は、感染患者搬送業務への救急隊員の活用について、消防庁に確認し、「保健所等と事前に協定を締結するなど、十分な協議を行った上で、できる限り移送に協力している」との回答を得たことを報告。「活用のためにも都道府県に働き掛けを行って欲しい」と述べた。
松本常任理事は、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて概説した他、「令和2年度の診療報酬改定を一時延期すべき」との要望に対しては、今回の改定で重点課題となった働き方改革はまったなしの状況にあることなどを説明し、4月1日からの施行に理解を求めた。
江澤和彦常任理事は、通所サービスを利用できなくなった利用者に対して、居宅サービスを提供した場合は、通所系サービスの報酬区分を算定することができることの他、都道府県が地域医療介護確保金でマスクを一括購入し、介護事業者に対して、提供することを検討していることを明らかとした。
その他、当日は、石川常任理事が「日本医師会 新型コロナ通信」をメールで配信するとともに、日医のホームページのメンバーズルームに掲載していること、釜萢常任理事が、日医が調査を行っている「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」(3月13日午前10時時点)の結果を報告。また、松本常任理事は、230万人いる在留外国人が今後、医療機関に相談に来る可能性があることに触れ、「困ったことがあれば、日医に連絡して欲しい」と述べた。
これらの説明に対して、都道府県医師会からは、「帰国者・接触者外来の拡充」「消毒液の確保」「新型コロナウイルス感染症患者を診るに当たってのフローチャートの作成」「クラスター患者の情報提供」「精神疾患の患者が感染した場合の対応の検討」を求める要望などが出された。
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