閉じる

令和2年(2020年)3月27日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

令和元年度小児在宅ケア検討委員会答申について「医療的ケア児を支える体制の整備について~医師会による取り組みのさらなる推進~」

 松本吉郎常任理事は3月25日の定例記者会見で、小児在宅ケア検討委員会が、会長諮問「医療的ケア児を支える体制の整備について~医師会による取り組みのさらなる推進~」に対する答申を取りまとめ、3月18日に田村正徳同委員会委員長(埼玉医科大学総合医療センター小児科特任教授)より横倉義武会長に提出したことを報告し、その概要を説明した。

 答申は、「はじめに」「1.災害への対応」「2.医療的ケア児の教育・保育機会の確保に向けて」「3.医師会として、医療的ケア児と家族を支えるシステムの構築」「4.レスパイトの課題と改善方策」「5.医療的ケア児等コーディネーターの専任化と基幹相談支援センターへの配置」―で構成されている。

 1.では、医療的ケア児が使用している医療機器の電源確保や避難には支援を要するため、災害への備えとして、自助、互助(地域の力)が大事になると指摘。

 また、医師会に求められる対応として、(1) 平時より電力会社に在宅人工呼吸器患者の電力確保や停電に関する速やかな情報提供、電源車の優先配置等についての協議や要望、(2) 蓄電池や非常用電源を購入し、少なくとも医師会員が診ている患者については、電源の問題だけであれば病院まで行くことなく、サポートできる体制の構築とそのための予算措置の要望、(3) 医療機器を使用する患者の受け入れができるように、大容量の電源を確保した新しい避難所「在宅療養避難所(仮称)」の設置を市町村に提案―が望まれるとしている。

 2.では、多くの医療的ケア児が学校に在籍している中、送迎や保護者の付き添いの問題の他、学校看護師が実施できる医療的ケアが標準化されていない等の問題点があることから、文部科学省が「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」を設置し、2019年2月に報告書をまとめたことを紹介。その報告書に「医療的ケア児の可能性を最大限に発揮させ、将来の自立や社会参加のために必要な力を培うという視点に立って、医療的ケアの種類や頻度のみに着目して画一的な対応を行うのではなく、一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行うことが必要である」と記されていることを踏まえ、各学校において医療的ケアを安全に実施する体制を構築するために、今まで以上に学校医が積極的に関与していくことを求めている。

 3.では、各都道府県や市町村・圏域ごとに設けられる「医療的ケア児支援のための関係機関の協議の場」への医師会の参画率が、都道府県レベルでは71%、市町村レベルでは18%であることに触れ、医療的ケア児の支援に医療は欠かせないことから、行政からの要請を待つのではなく、郡市区医師会からの積極的な参画が必要になるとしている。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる