第10回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が5月1日、テレビ会議システムを利用して、日医会館で開催された。
冒頭あいさつした横倉義武会長は、安倍晋三内閣総理大臣が「緊急事態宣言」を延長する方針を明らかにしたことについて、「地方への感染拡大も見られる中、外出自粛の成果が依然として医療の現場にまで届いておらず、非常に厳しい状況にあることをご理解頂いた上での判断と考えている」と評価。早期の収束を目指すためにも、PCR検査を更に拡充させ、陽性者へ適切な医療を提供し、重症化を防いでいくとした。
続いて、オブザーバーとして参加した笠貫宏COVID-19有識者会議副座長(早稲田大学特命教授)があいさつし、4月18日に設立した同会議では、世界からの情報を的確に判断して医療従事者に提供するため、具体的な提言を行っていくとの意向を示した。
議事では、まず釜萢敏常任理事が、この日に開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議でまとめられた「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」について報告。緊急事態宣言の期限である5月6日以降の取扱いについては、決定事項はなかったとした上で、同宣言の解除に当たっては、(1)新規感染者数、倍加時間、感染経路不明の感染者数の割合の水準が十分抑えられているか、(2)医療機関の役割分担の明確化や患者受入先の調整機能の確立や、病床稼働状況の把握・共有体制―などの評価・分析を行っていくことを説明した。
北海道・札幌市各医師会からは、道独自の「緊急事態宣言」によって、収束傾向にあったものの、3月の3連休の気の緩みが第二波を招いたとして、大型連休により更に感染が拡大することへの懸念が示された。
今村聡副会長は、令和2年度補正予算案に盛り込まれた「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」(公費2,972億円、うち国費1,490億円)について、国と都道府県の負担割合が2分の1ずつであり、都道府県負担は「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(内閣府1兆円)により措置することから、都道府県に実際の負担はないことや、本年4月に遡って適用されることなどを概説した。
対象となる事業については、釜萢常任理事が資料を基に説明。入院患者を受け入れる病床の確保、消毒や宿泊療養の経費への支援、入院医療機関における人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)、個人防護具、簡易陰圧装置、簡易病室等の設備整備などの他、DMAT・DPAT・JMAT等の医療チームの派遣にも適用されるとした。
また、「地域外来・検査センター運営マニュアル」にも触れ、設置・運営の費用が本交付金や他の財源で賄われるとした。
一方、国の方針として、業種を問わず新型コロナウイルス感染症の影響による損失補填は行わないため、外来患者が減少した分の補填としてこの交付金その他が使えないことから、今村副会長は、経済産業省関東経済産業局が、(1)事業全般に広く使える現金支給(上限:法人200万円、個人事業主100万円)、(2)従業員に支払った休業手当等の最大10分の9の助成、(3)福祉医療機構で無利子、無担保の融資―などの支援を用意していることを紹介し、活用を求めた。
更に、同副会長は、JMATの保険について、これまでの災害時の損害保険は旅行保険(通常保険)で、感染症対応はなされないことから、新型コロナウイルス感染症にも対応できる傷害保険「特定指定感染症危険補償特約付帯傷害保険」を創設したと改めて説明した。その上で、「都道府県医師会・郡市区医師会が医師等を派遣するに際し、JMAT、あるいはみなし公務員等のいずれの方法を採るかについては、行政との間で経費負担や補償等についても十分協議、検討した上で判断してもらいたい」と述べた。
その他、釜萢常任理事は「新型コロナウイルス感染症 日本医師会検査・救急医療緊急調査」の結果について、羽鳥裕常任理事は「新型コロナウイルス感染症外来診療ガイド 第1版」の発行について、それぞれ報告した。
松本吉郎常任理事は、「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査」の内容を説明するとともに、新型コロナウイルス感染症に係る医療保険上の取扱いにおいて誤った運用が見られるとし、地域外来・検査センターにおけるPCR検査を保険診療として行う場合は、検査部分のみでなく、初診料、再診料等も保険診療として算定できる点に注意を促した。
中川俊男副会長は、検査・救急医療緊急調査と医業経営状況等アンケート調査に対する都道府県医師会の協力に謝辞を述べるとともに、「医業経営状況はアンケート時よりも更に悪化している」として、本協議会終了後、四病院団体協議会と共同で、加藤勝信厚生労働大臣に、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関以外の一般の医療機関に対して、地域医療介護総合確保基金の柔軟な運用等を求める要望書を提出する予定であることを補足した。
長島公之常任理事は、スポーツ庁健康スポーツ課の依頼を受け、外出自粛時において、安全に運動・スポーツに取り組むためのポイントを各都道府県に周知したことを報告。
平川俊夫常任理事は、複数の民間企業から医療用マスクを始めとする医療物資の提供があり、随時、都道府県医師会に発送していくとした他、感染症指定医療機関以外へも届くよう配慮を求めた。
最後に横倉会長が、早期発見・早期治療のためにも、PCR検査体制の拡充が必要であるとして、都道府県医師会に更なる協力を求め、協議会は終了となった。
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