閉じる

令和5年(2023年)11月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

糖尿病治療薬等の適応外使用について

日本医師会定例記者会見 10月25日・11月2日

糖尿病治療薬等の適応外使用について

糖尿病治療薬等の適応外使用について

 宮川政昭常任理事は、昨今問題となっている糖尿病治療薬等の適応外使用について、現状を説明するとともに、注意喚起への協力を呼び掛けた。
 同常任理事は、まず、本年8月から9月に掛けて日本医師会が実施した医薬品供給不足に関する緊急アンケート結果の中で、GLP―1製剤について、院内処方で入手困難であった件数が308件、院外処方で処方困難であった件数が648件(いずれも速報値)であったことなどを改めて説明。
 その上で、「医療機関ではGLP―1製剤が不足している状況であり、さまざまな要望も寄せられている」と述べ、具体的に、「GLP―1がダイエットの目的で使われているため、糖尿病の患者に処方できない。卸がそのようなクリニックに卸すのを制限できないか」「GLP―1作動薬の適応外使用(美容系)で注射が不足し糖尿病内科は困っています」等の意見があることを紹介した。
 次に、この現状は日本医師会や日本糖尿病学会、製薬企業が継続的に注意喚起を行ってきたにもかかわらず続いているものであることを説明するとともに、こうした適応外使用では、利用者に「自己責任の上で自由診療を行います」などの同意を取っている場合もあり、有害事象が表面化していない可能性を指摘した。
 また、減量目的でGLP―1作動薬を使用した場合のリスクについて、JAMA(Journal of American Medical Association)において、膵炎リスクが9倍に上昇するなどの報告がなされていること等を紹介した上で、本来の目的とは異なる使用については情報が少ないことから、今後情報の蓄積が必要とした。
 更に、SNSでも実際に使用し、有害事象で悩んでいる人の投稿等が見受けられることに触れ、ダイエット目的で使用して有害事象が起こったとしても、「医薬品副作用被害救済制度」の対象にはならず、救済されないことに注意を促した。
 同常任理事は最後に、日本医師会として、GLP―1製剤が"やせ薬"として不適切に使用されることに対し、強い懸念をもっていることを改めて強調。「国民の健康を守るという日本医師会の立場としては、健康な方にダイエット目的で使うのではなく、糖尿病の患者さんにしっかりと処方できる体制を確立し、守っていきたい」と述べ、報道各社にも国民への伝え方等も含めた協力を呼び掛けた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる