日医定例・臨時記者会見 4月22・28日
松本吉郎常任理事は、4月17、24の両日に開催された中医協で了承された、新型コロナウイルス感染症に関する特例的な対応について解説した。
同常任理事はまず、17日の議論で特例的対応として了承された重症の患者の治療に係る評価については、「ECMOを実施する場合、1人の患者に対して、2名以上の看護師等の医療従事者が張り付くような"逆2対1"の状態になっていることや、14日間では不十分なケースもあることからすると、元々のECMOの評価が著しく低かったという問題はあるものの、現状においてこうした対応がなされたことは評価できる」と意見を述べたことを紹介。
中等症以上の患者(酸素療法が必要な患者を想定)の重症化を防ぐための管理等への評価については、「全国の医療現場において、医療従事者の方々は自らの使命感を支えとして、感染リスクと対峙しながら懸命な治療を実施している。そうした医療従事者に対する危険手当て的な要素としても、この対応は評価できる」と述べた。
患者の受け入れ体制を整える際に必要な手続きへの柔軟な対応に関しては、「こうした手続きを活用してもらうことで、各医療機関が同感染症患者の受け入れ状況に応じて、必要な体制を柔軟かつ迅速に選択できるようになることを期待している」とした。
また、小児の患者についても言及し、数が少ないものの、重症化例が報告されていることから、PICUやNICUの評価もICU等に合わせて引き上げるべきとの見解を示した。
24日に了承された特例的な対応に関しては、まず、4月17日に持ち回りで審議が行われた中医協で、ICU等の評価を倍増させる特例が認められたものの、その対象は大人のみであったことから、「PICUやNICUなどについても、同様の評価をすべき」と主張した結果、中医協では厚生労働省保険局医療課長から対応する旨の答弁があり、同日に厚労省から発出された事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その14)」において、PICUやNICUに加え、脳卒中ケアユニット入院医療管理料や総合周産期特定集中治療室管理料などで、同様の取り扱いが認められたことを紹介した。
また、現在、在宅医療の現場において、訪問診療を継続する必要性があるにもかかわらず、感染を懸念する患者や施設側などから、訪問を控えるよう求められる事案があることを踏まえ、在宅時医学総合管理料(在医総管)や施設入居時等医学総合管理料(施設総管)についての臨時的・特例的な取り扱いが認められたこと等を説明。議論の中では、厚労省に対して訪問診療を継続する必要がある患者の場合には、施設等が訪問を拒否しないよう要請することを求め、厚労省から速やかに対応する方針が示されたとした。
その上で、「今回の対応で、入院、外来、在宅と、一通りそろったことになったが、これまで現場のニーズに応じ、特例的な取り扱いを迅速に認めていったことは一定の評価ができる」と述べるとともに、院内感染対策防止等の観点から、無症状感染者などに対してPCR検査を実施する場合など、診療報酬上の更なる対応が必要となれば、その都度、厚労省に要請していきたいとした。
その他、緊急事態宣言に基づき、都道府県知事が、臨時の医療施設としてプレハブ等による仮設の医療施設を設置した場合の対応について解説。
24日の中医協では、新型インフルエンザ特別措置法上の臨時の医療機関は、今後、地域によってさまざまなものが登場してくると考えられることから、「今回の対応はとりあえずの大枠の対応であり、個々の事例によって、柔軟な対応・運用が必要になる」「臨時の医療施設は通常の医療機関とは異なり、レセコンも無いなど、十分な事務処理能力が無いことも予想される」と指摘するとともに、外来医療の場合でも、各種届出や様式等の書類作成時について、実状に応じた柔軟な運用が必要になると主張したことを説明した。
更に、補足として、地域の医師会等が都道府県からの委託を受けて、「地域外来・検査センター」や「PCR検査センター」を開設していることにも触れ、このような場合も、保険医療機関としての指定を、迅速かつ柔軟に行えるような手続きが既に示されているとした。