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令和2年(2020年)8月5日(水) / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の影響により経営が悪化している医療機関が利用できる補助制度、融資制度

Ⅰ.医療機関・医療従事者への交付金
1.新型コロナに係る空床確保の補助
2.新型コロナ疑い患者を診療する救急・周産期・小児医療機関への支援金
3.新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金
4.地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援
Ⅱ.幅広い業種が対象となる補助
1.家賃支援給付金
2.持続化給付金
3.雇用調整助成金の特例措置
4.IT導入補助金
Ⅲ.融資
1.福祉医療機構の融資
2.日本政策金融公庫の融資
3.信用保証協会の保証
4.民間金融機関を通じた信用保証付き融資

Ⅰ.医療機関・医療従事者への交付金

1.新型コロナに係る空床確保の補助(確保病床及び休止病床)

 新型コロナウイルス感染症患者受け入れのため病床を確保し、空床・休床が生じた医療機関が対象。重点医療機関・協力医療機関では、空床及び休床1床当たりICU病床30.1万円/日、HCU病床21.1万円/日、その他病床5.2万円/日(療養病床の休止は1.6万円/日)を上限として補助されます。
 重点医療機関とは新型コロナ患者専用の病院や病棟を設定する医療機関、協力医療機関とは新型コロナ疑い患者専用の個室病床を設定する医療機関で、いずれも都道府県が指定した医療機関です。
 上記以外の医療機関では、空床及び休床1床当たりICU病床9.7万円/日、重症者・中等症者病床4.1万円/日、その他病床1.6万円/日を上限として補助されます。
 なお、上記の他、重点医療機関等に対する設備整備の補助もあります。

2.新型コロナ疑い患者を診療する救急・周産期・小児医療機関への支援金

 新型コロナウイルス感染症を疑う患者を診療する救急・周産期・小児医療機関として都道府県に登録された医療機関が対象。支援金の対象となる費用は、感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用で、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの実費が対象です。実費ですので概算で申請した場合は事後に精算が必要となります。
 補助上限額は病床規模によって異なり、100床の場合3,000万円で、100床毎に1,000万円加算。更に新型コロナ患者の入院を受け入れた場合は1,000万円加算されます。
 なお、これらの医療機関には上記の他に設備整備の補助もあります。
以上の照会先 各都道府県の窓口

3.新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金(非課税)

 医療機関で患者に接する医療従事者や職員が対象。受付や清掃等の委託業者の職員も含まれます。個人に対する慰労金ですが、申請は医療機関から行います。
 給付額は、都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務し、患者と接する医療従事者や職員は、当該医療機関で実際に新型コロナ受け入れがあった場合は原則20万円、受け入れがなかった場合は10万円。都道府県から役割を設定されていない医療機関等に勤務し患者と接する医療従事者や職員は原則5万円です。
 定められた対象期間内に10日以上(勤務時間を問わず)勤務した実績が必要です。なお「患者と接する」には新型コロナ以外の患者への対応も含みます。

4.地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援

 院内での感染拡大を防ぐための取り組みを行いながら、地域で必要な医療提供を継続する医療機関が対象。保険医療機関が広く対象になります。
 補助対象費用は、感染拡大防止対策に要する費用に限られず、院内での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について幅広く対象となります(ただし通常の人件費は除く)。令和2年4月1日から令和3年3月31日までの実費が対象です。
 補助額は、病院200万円+5万円×病床数、有床診療所200万円、無床診療所100万円が上限です。実費ですので概算で申請した場合は事後に精算が必要になります。
 なお、上記2の支援金と重複して補助を受けることはできません。
以上の照会先 新型コロナ緊急包括支援交付金コールセンター 03-3595-3317(平日 9:30~18:00、電話番号は7月21日時点)

Ⅱ.幅広い業種が対象となる補助

1.家賃支援給付金(経済産業省所管)

 地代または家賃の一部を支援する制度。5月から12月までのどこか1カ月の売上高が前年同月比50%以上減少、または連続3カ月の売上の合計が前年同期比30%以上減少した中堅・中小事業者等が対象です。医療法人や個人事業者も含まれます。
 給付額は、法人の場合、月額賃料の最大3分の2(上限100万円/月)を6カ月分(上限600万円)、個人事業者はその半額(上限300万円)です。
照会先 家賃支援給付金コールセンター 0120-653-930(平日・土日祝日 8:30~19:00)

2.持続化給付金(経済産業省所管)

 売上高が前年同月比50%以上減少した中堅・中小事業者等が対象。医療法人や個人事業者も含まれます。給付額は、法人200万円、個人事業者100万円、ただし昨年1年間の売上からの売上減少分が上限です。
照会先 持続化給付金事業コールセンター 0120-115-570(7月~12月土曜日を除く 8:30~19:00)

3.雇用調整助成金の特例措置(厚生労働省所管)

 従業員を休ませて休業手当を支払った場合の助成。1カ月の売上高などが前年同月比5%以上減少している事業者が対象で、経営者と労働組合(または労働者代表)で休業の時期や対象者、休業手当等について協定を結び、それに基づき休業手当を支払うことなどが必要です。
 1人1日当たり15,000円を上限に、休業手当の3分の2から最大10分の10が支給されます(4月1日から9月30日までの特例)。
照会先 所在地の都道府県労働局またはハローワーク

4.IT導入補助金(経済産業省所管)

 ITツールの導入による業務効率化を支援する補助金。あらかじめ採択された一定のITツールの導入費用が対象で、補助額は30~450万円、補助率は通常2分の1から最大4分の3です。活用例として電子カルテシステムの導入などが想定されます。
照会先 サービス等生産性向上IT導入支援事業コールセンター 0570-666-424(平日 9:30~17:30)

Ⅲ.融資

1.福祉医療機構の融資

 前年同期比較で減収または利用者が減少している医療機関が対象。
 病院は3億円まで無担保で1億円まで5年間無利子、診療所は4,000万円まで無担保かつ5年間無利子です。
 償還期間は15年以内、うち元本返済猶予の据置期間は5年以内です。
 更に新型コロナウイルス感染症対応を行う医療機関、政策医療を担う医療機関には無担保・無利子枠の優遇があります。
 既往の借入れについても、返済猶予の相談に応じています。
 なお、融資には所定の審査があります(以下同じ)。
照会先 福祉医療機構 医療貸付専用ご相談フリーダイヤル 0120-343-863(平日 9:00~17:00)

2.日本政策金融公庫の融資

 日本政策金融公庫(国民生活事業)でも実質無利子・無担保で融資があります。実質無利子とは一旦利子を支払った後に利子補給金で補てんされることです。
 従業員数や売上減少率などの要件に該当すれば、当初3年間、4,000万円まで実質無利子となります。既往の借入れの借換えも対象に含まれます。
 他にも、再建に取り組む中小企業等のための資本性劣後ローンというものもありますが、長期かつ期限一括返済でその間利息がかかります。
照会先 日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル 0120-154-505(平日 9:00~17:00/個人企業・小規模企業等 9:00~19:00)

3.信用保証協会の保証

 信用保証協会の保証を受けて金融機関から融資を受ける際、通常の保証枠(最大2.8億円)とは別枠の保証枠が設けられています。
 売上高が前年同月比で5%以上減少の場合、借入債務の80%が保証されます(セーフティネット保証5号で最大2.8億円)。売上15%以上減少の場合は100%保証されます(危機関連保証で最大2.8億円、売上20%以上減少の場合はセーフティネット保証4号と危機関連保証で最大5.6億円)。
照会先 最寄りの信用保証協会

4.民間金融機関を通じた信用保証付き融資

 上記3の保証(別枠分)の認定を受けた方は、民間金融機関を通じた信用保証付き融資(都道府県の制度融資)において、保証料と利子が優遇されます。従業員数や売上減少率などの要件により、例えば売上が5%以上減少した従業員5名以下の個人事業者は、保証料無料、3年間実質無利子となります。
 融資上限額は4,000万円、融資期間は10年以内、うち元本据置期間は最大5年、担保は不要です。
照会先 中小企業金融相談窓口 0570-783-183(平日、休日 9:00~19:00

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