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令和2年(2020年)8月5日(水) / 日医ニュース

「経済財政運営と改革の基本方針2020(仮称)」(原案)に対する日医の見解を公表

 日医は7月10日、8日に開催された経済財政諮問会議で示された「経済財政運営と改革の基本方針2020(仮称)」(いわゆる「骨太の方針2020」)の原案に対する見解(全文は日医ホームページプレスリリースを参照)を公表した。
 見解の中では、原案に「『経済財政運営と改革の基本方針2019』のうち、本基本方針に記載がない項目についても、引き続き着実に実施する」とあり、過去の「骨太の方針」を踏襲することが明記されていることについて、「それぞれの課題を検証せずに踏襲することは問題である」と指摘。その上で、懸念のある「薬価調査・薬価改定」「医療機関経営」「オンライン診療」の主に3点について日医の考えを別掲のように説明するとともに、「今後は『骨太の方針2020』と併せて、『規制改革実施計画』や『成長戦略実行計画』も閣議決定される予定であるが、日医は政府に対して是々非々の対応で対峙していく」とした。
 なお、「骨太の方針2020」は7月17日に閣議決定された。

薬価調査・薬価改定

  • 医薬品卸業者においては、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため通常とは異なる配送体制を組み、医療機関及び薬局においては、医薬品購入に係る価格交渉ができていない状況であり、今後も当面の間、続くものと予想される。
  • 販売側・購入側共に薬価調査を実施できる環境にあるとは言えず、仮に調査を実施しても、薬価改定に必要となる適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難である。
  • 新型コロナウイルス感染症への対応並びに感染拡大防止に医療現場全体で最大限取り組んでいるこの時期に、医薬品卸や医療機関・薬局に対し、調査に伴う事務作業負担を強いるべきではない。
  • 中医協においても、薬価調査は新型コロナウイルス感染症下で行うことができないというのが現場の一致した意見であり、技術的に不可能である。そのような状況での調査結果を公的なデータとして活用すれば、現場との齟齬(そご)が生じる懸念がある。

医療機関経営

  • 新型コロナウイルス感染症による医療機関経営への影響は深刻で、来年度の予算編成を待てる状況ではない。
  • 日医として経営実態を把握するためにさまざまな調査を行っているが、国においても、速やかに実態把握に努め、至急追加支援をお願いする。
  • 全ての医療機関が地域を面で支えており、新型コロナウイルス感染症に対応していると言っても過言ではない。一般の患者さんの受け皿があってこそ、医療機関は新型コロナウイルス感染症患者に集中できるのであり、新型コロナウイルス感染症重点医療機関等を支えるためにも、地域を面で支える医療機関への支援も不可欠である。
  • 今後も、受診控え、健診控えは容易に回復しないと見込まれ、地域医療の維持が危うくなっている。このままでは患者が安心して医療を受けられるところが失われてしまう。国には、速やかに十分な対応を実施するよう求める。

オンライン診療

  • 今回の新型コロナウイルス感染症拡大下でオンライン診療が時限的・特例的に緩和され、収束までの間、オンライン診療・服薬指導について都道府県単位の協議会が実績評価を行うことになっている。
  • 都道府県は医療機関から個別事例を収集することになり、さまざまな患者の声も上がってくるものと思うが、そこで注意したいのは、この間の実績は貴重なエビデンスではあるものの、足下の利用状況や患者満足度は感染リスクと比較してのものであるということである。直ちに平時の対面診療と比較できるわけではない。
  • 患者の安全を守るためにも、幅広く実態を調査し、一気に「仕組みを構築」することを目指すのではなく、丁寧な合意形成を図るよう要望する。

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