中川俊男会長はオンライン診療に関して、かかりつけ医が対面診療の補完として活用すべきものとする日本医師会の見解を改めて説明するとともに、医療訴訟やプライバシー保護など、医師の不安を取り除くための環境整備が必要であるとした。
中川会長は、オンライン診療は医療機関へのアクセスが制限されている場合に、対面診療を補完するものとの認識を改めて示した上で、受診歴のある"広い意味でのかかりつけの患者"に対しては、対面診療と同等以上の安全性・信頼性が確認される場合に、医師の判断により一時的にオンライン診療で補完するとした。
一方、受診歴がなく、かかりつけ医からの情報提供もない新規患者については、原則初診のオンライン診療を認めない方針を改めて強調した。
新型コロナウイルス感染症流行下での時限的・特例的対応としてオンライン診療が解禁されていることについては、「時限的・特例的対応終了後に、平時の対面診療における安全性・信頼性との比較検証が必要である」と指摘した。
その上で、オンライン診療において医師には、
(1)対面診療に比べて情報が少ないことで適切な診断に至らず、医療訴訟につながりやすくなるのではないかという不安
(2)オンライン診療の動画をSNSに無断でアップされるなど、プライバシーが流出するのではないかという不安
(3)情報システム機器やソフトに疎いことによる不安
―があるとし、かかりつけ医の不安を取り除き、支援する環境整備が必要であると主張した。
特に(2)に関しては、患者に医師のプライバシーへの配慮を求める反面、オンライン診療を行う医師に対する倫理指針を改めて策定する意向を示した。
この他、「オンライン健康相談」に関しては、国としての定義の明確化が必要であるとし、「医療関係者や患者等が参画してガイドラインを策定する必要がある。業界ガイドラインについては、事後検証の自己点検になりがちのため、医療関係者や患者等による第三者評価を行うべきである」との考えを述べた。
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