日本医師会とドイツ医師会は10月14日、両国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの対応をテーマとして、テレビ会議を行った。
会議には、日本医師会から、中川俊男会長、松原謙二副会長、釜萢敏・橋本省両常任理事が、ドイツ医師会から、クラウス・ラインハルト会長、フランク・ウルリッヒ・モントゴメリー前会長(世界医師会議長)、ラミン・パルサ・パルシ国際部長、ドーメン・ポドナー政策アドバイザーが参加した。
両国の事例発表では、中川会長が日本のクラスター対策を紹介。早期にクラスターを封じ込め、クラスターから新たなクラスターへの感染拡大を防止する手法として極めて有効であったと説明。更に、クラスターの分析から、「密閉」した空間に人が「密集」し、距離が「密接」する条件が揃うことにより感染拡大リスクが助長される「3密」の回避が感染防止につながることをいち早く把握し、対策を講じたことが感染拡大の抑制に効果があったことを概説した。
ラインハルトドイツ医師会長は、第1波において十分な検査能力、集中治療室の拡張、空床補償の導入等の対策が功を奏したことに加え、入院患者と外来患者の区域を厳密に区別してCOVID-19患者を診療所で治療したことが蔓延(まんえん)の防止につながったと説明。加えて、ロベルト・コッホ研究所、ウイルス学者、ドイツ医師会によるメディアを通じた連日の情報提供が、十分な情報に基づいた市民の行動を促したことを報告した。
その他の議論では、釜萢常任理事がオンライン診療の問題点を説明。ドイツ医師会からは、医師不足が今後も問題となり得るへき地において、特に現在のパンデミックに対応した「ゴールド・スタンダード」として、遠隔医療が対面診療の補足としての役割を果たしていることも認識する必要があるとの発言があった。