中川俊男会長は11月18日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の最近の状況について日本医師会の見解を述べた。
中川会長は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が、全国で過去最多を記録するなど、4月や8月のピークを超えて感染者の増加が顕著になったと指摘。感染拡大が続いている北海道札幌市内に限り警戒ステージを引き上げ、東京都でも最も高い警戒レベルに引き上げる方針との報道があることに言及。感染拡大の原因となるクラスターについて、いわゆる夜の街以外の職場や外国人コミュニティー、福祉施設などの多様化がみられていることから、まずは感染が拡大している地域への移動を自粛することが重要であるとして、「国民の皆様一人ひとりのこうした行動の積み重ねにより、全国での感染の蔓延を防ぐことができる」と述べ、「今週末の3連休は『秋の我慢の3連休』として、感染拡大を防ぐために家で十分な換気を行った上でしっかりと睡眠をとり、ゆっくりと過ごして欲しい」と呼び掛けた。
また、日本医師会で行った有識者講演勉強会で西浦博京都大学教授が、「人口密度」「気温」「移動」「コンプライアンス(感染予防意識)」が2次感染の大きな要因になると指摘し、感染対策には思い切った流行対策を講じる"ハンマー"と、感染者数が少ない範囲で新しい生活様式を実践する"ダンス"を使い分ける"ハンマー&ダンス"の政策が必要であるとしたことなどを紹介。更に、講演の中では医師会が「医療崩壊のリスク」と「医療従事者を護るための流行制御」を社会全体に働き掛けるとともに、放置するならば「医療がずっと社会のインフラであり続けると思わない方が良い」という警告を発するべきだとして協力を求められたことを明らかとし、その考えに賛意を示すとともに「新型コロナウイルス感染症と最前線で闘う医療関係者を護り、医療崩壊を防ぐためにも、国民の皆様には、ぜひ我々の声に耳を傾けて欲しい」と要望した。
中川会長は最後に「感染防止対策が結果的には一番の経済対策につながる」と強調。「コロナに慣れないで下さい。コロナを甘く見ないで下さい」と訴え、重ねて今週末の連休を『秋の我慢の3連休』とすることへの理解と協力を求め、更に健康に不安を感じたら、「みんなで安心マーク」の掲示してある医療機関に相談、受診するよう国民に呼び掛けた。
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