日医総研と言えば、「日医標準レセプトソフト」(通称ORCA)を思い浮かべる方も多いと思います。今回はORCAと今後のICTの発展、オンライン診療について触れたいと思います。
日本医師会は2001年に「日医IT化宣言」を出し、ORCAプロジェクトが始まりました。2002年に日医総研の事業としてレセプトコンピュータの中心部であるORCAを作成しています。
ORCAは多くの会員の支持を得て着実に普及し、約1万7千(2020年9月時点)の医療機関で利用され、国内レセコン第2位のシェアとなっています。
このORCA事業は今後のさまざまなICT化の進展や施策に対応していくため、2015年に日医総研から離れORCA管理機構株式会社として独立しました。
日本医師会では、2016年には新たな指針として、「日医IT化宣言2016」が公表されました。この新しい宣言は医師資格証の普及を含めた医療分野のICT政策全体に言及したものです。
医療系の国家免許保持者の個人認証を行う「HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure」については、同じくORCAプロジェクトの一環として開発を進め、日本医師会内に日本医師会電子認証センターを設置し、医師資格を証明するカードである医師資格証の発行を開始しました。現在、約1万7千枚(2020年9月時点)の発行枚数となっています。
オンライン診療については、今後はさまざまな形で普及していくとは思いますが、過誤や不正の防止のためには医師と患者の本人確認が必須になってきます。その際には、医師側は顔写真付きで偽造もしにくいHPKIカードを使うことが最も信頼性が高くなります。今後の医療のICT化の推進のためには医師資格証が不可欠のものになると思われますので、先生方もこの際にぜひ申請をお願いいたします。(https://www.jmaca.med.or.jp/hpki/)
日医総研は医療のICT化の基礎づくりを行ってきました。今後もオンライン診療や地域医療ネットワークなどの適切な実施に関する研究など、日本の医療の発展に資する研究を行って参ります(研究内容は日医総研ホームページ〔https://www.jmari.med.or.jp/〕等をご参照下さい)。
今後とも、日医総研に対して多くの先生方のご理解、ご支援をよろしくお願いいたします。
(日医総研副所長 原祐一)