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令和2年(2020年)12月3日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

総論(最近の新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて)

 中川俊男会長は12月2日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数や重症者が増え続ける中、最近の日本医師会の動きや同感染症と季節性インフルエンザとの違い等を説明するとともに、改めて国民に対して感染防止対策の徹底を要請した。

 中川会長は、まず、これまでの記者会見で「コロナに慣れないで下さい。緩まないで下さい。甘く見ないで下さい」と繰り返し述べてきたことを説明。依然として同感染症には未知な部分が多いとし、政府に対して個人の健康のみならず、国民全体の健康や医療への負担、社会機能への影響を総合的かつ柔軟に検討することを求めた。

 国民のごく一部に、限定的な情報等から同感染症を軽視する向きがあることに対しては、「"コロナ観"を固定観念化させてしまうのを懸念している。若年層でも重症化等のリスクは決してゼロではなく、エビデンスがはっきりしない状態で甘く見ることは危険だ」として、注意を呼び掛けた。

 また、同感染症は季節性インフルエンザと比較されがちであるが、「季節性インフルエンザは例年より大幅に少ない状況が続いているものの、その状況がこれからも続くとは限らない」とした上で、季節性インフルエンザが激減する程の感染防止対策をとっているにもかかわらず、感染拡大を防ぐことのできない同ウイルスの感染力の強さを強調。「仮にマスク無し、手洗いも励行しない以前のような生活を送っていたとすれば、感染の拡大はとても今のような程度では済まなかったのではないか」と治療や予防法が確立している季節性インフルエンザと同様には扱えない理由を解説した。

 その上で、医療現場で働く医療従事者の心身の疲労が既にピークに達している現在の状況の中で、これ以上感染者が急増すれば、同感染症とそれ以外の疾病への医療提供の両立が不可能となると指摘。重症患者に対応する医療従事者の養成と確保を求めるとともに前回の記者会見でも提言した、病床占有率の分母の確保病床数から即応病床数に変更し、最新の現場の実態をリアルタイムで把握していくべきであるとした。

 更に、中川会長は前日12月1日に菅義偉内閣総理大臣と行った会談の内容にも言及。重症患者に対する医療提供体制の早急な整備を求めたことに対して、「全力で当たる」との回答があったことを紹介するとともに、日本医師会としてもリアルタイムに全国の現場との連携、調整を全力で行っていく意向を示した。

 中川会長は最後に、「日本医師会は国民の不安をいたずらに煽っているわけではない」として、これからもできる限り確かな情報を総合的に判断して発信していく意向を表明。国民に対しては「新たな年をいつものように迎えるためには、まさに師走が正念場になる」として改めて基本的な感染対策の徹底とともに、同感染症を正しく恐れ、冷静な行動をとることを求めた。

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