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令和3年(2021年)1月5日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

全世代型社会保障検討会議の最終報告取りまとめなど最近の政府の動向について

日医定例記者会見 令和2年12月9・16日

 中川会長は、昨年12月14日に政府の全世代型社会保障検討会議において「全世代型社会保障改革の方針(案)」が取りまとめられ、翌15日に閣議決定されたことを受け、日本医師会の見解を説明した。
 中川会長はまず、今回の最終報告に関し、同会議に招かれ、自身が説明した①後期高齢者の患者負担割合のあり方②「外来機能分化」と「200床以上の一般病院への定額負担拡大」―について、日本医師会の意見を踏まえたものとなったとして、その考え方を説明した。
 ①の後期高齢者の患者負担割合のあり方に関しては、丁寧に議論していくことを求め続けてきた結果、11月19日に開催された社会保障審議会医療保険部会に厚生労働省から五つの所得基準案が示され、その後鋭意議論がなされたものとの認識を示した。
 一方、最終報告において「後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても課税所得が28万円以上(所得上位30%)かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上)の方に限って、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方は1割とする」とされたことに対しては、2割負担となる対象者の範囲を狭めるよう求めてきた日本医師会の思いとは乖離(かいり)があると指摘。多くの疾患を持つ高齢者の受診が費用負担の面から抑制されることがないよう工夫するなど、高齢者の負担に配慮した仕組みとなるよう引き続き要望していくとするとともに、「2割に増えた患者負担分が医療機関の収入にはならないことを国が責任を持って国民に丁寧に説明し、周知して欲しい」と訴えた。
 ②の「外来機能分化」と「200床以上の一般病院への定額負担拡大」については、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大として、最終報告では、「医療提供体制の改革において、地域の実情に応じて明確化される『紹介患者への外来を基本とする医療機関』のうち一般病床200床以上の病院にも対象範囲を拡大する。また、より外来機能分化の実効性が高まるよう、保険給付の範囲から一定額を控除し、それと同額以上の定額負担を追加的に求めるよう仕組みを拡充する」とされた。
 これに関して、今後、「紹介患者への外来を基本とする医療機関」については、厚生労働省の審議会等で議論される際に、病院団体ともしっかり連携し、地域医療に混乱を来さないように取り組んでいくとの姿勢を示した。
 更に、ヒアリングに招かれた際に、再診時における定額負担の徴収が極めて少ないことから、再診時の定額負担を強化すべきと主張したことに触れ、その実効性の担保を求めた。
 また、不妊治療への保険適用等については、最終報告で「令和3年度(2021年度)中に詳細を決定し、令和4年度(2022年度)当初から保険適用を実施することとし、工程表に基づき、保険適用までの作業を進める」とされたことを受け、来年夏頃までに学会のガイドラインを完成させた後に行われる中医協での議論に向けて、今後しっかりと検討していくとの意向を示した。

今後はいかに国民の健康を守るかという視点で議論を

 その上で、全ての団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けての改革は、今回の全世代型社会保障検討会議の最終報告をもって一区切りとなるとの認識を示し、今後は「財政面からの保険給付を狭めるような議論ではなく、いかに国民の健康を守るかという視点からの議論をして欲しい」と要望した。

薬価改定財源は医療費財源に充当すべき

 その他、2021年度の薬価改定の議論が大詰めを迎え、12月17日に行われる田村憲久厚労大臣と麻生太郎財務大臣による閣僚折衝で正式に決定するとの報道(※17日に薬価改定の対象を乖離率5%を超える品目とすることが正式に決まった)にも言及。健康保険法では、診察、薬剤の支給、処置などの療養の給付を受けることができるとされており、日本医師会は、健康保険法において薬剤は診察等と不可分一体であり、その財源を切り分けることは不適当と考えており、これまでも薬価改定財源は医療費本体に充当すべきと主張してきたと説明。「コロナ禍の現状において、国民の生命を守るために最前線で活動する医療機関支援の原資とするなど、診療報酬上で中間年に加算をし、医療費財源に充てるべき」と主張した。

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