日医定例記者会見 1月13・20日
江澤和彦常任理事は1月13、18の両日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で、令和3年度介護報酬改定について諮問及び答申が行われたことを受け、日本医師会の見解を述べた。
江澤常任理事はまず、令和3年度介護報酬改定の改定率は0・70%のプラスとなり、うち0・05%は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として半年間の時限措置が設定されたことを報告。プラス改定の増額分は、各サービスを対象に基本報酬に投入し、コロナ禍において経営強化に充てられるものであるとの見方を示し、「この貴重な財源は、利用者の尊厳保持と自立支援に有効に活用していく」との決意を述べた。
また、今回の改定内容に関しては、(1)感染症や災害への対応力強化、(2)地域包括ケアシステムの推進、(3)自立支援・重度化防止の取組の推進、(4)介護人材の確保・介護現場の革新、(5)制度の安定性・持続可能性の確保―の五つの柱からなっているとして、以下のとおり概説した。
(1)では、従来の施設系サービス以外の訪問系サービス、通所系サービスにおいても感染症対策の取り組みとして、委員会の開催、指針の整備等が運営基準に義務付けられるとともに、全ての介護サービス事業者において、感染症や災害の発生時の訓練の実施も義務付けられた他、必要な介護サービスを継続して提供できるようBCP(業務継続計画)の策定が求められているとした。
(3)では、通所介護等において自宅での入浴の自立を支援する取り組みを評価するという新たな視点に基づき、「入浴介助加算(Ⅱ)」が新設されたことを説明。その他、介護分野のデータベース「CHASE」「VISIT」の一体的な運用に向けて、名称を「LIFE(科学的介護情報システム)」に改編し、本格的に構築していくことが盛り込まれているとした。
また、新たにオムツの卒業をより評価する排せつ支援加算とともに新設された介護保険施設における「自立支援促進加算」については、「施設での日中の過ごし方等へのアセスメントの実施や、生活全般における計画に基づくケアの実施の評価として日本医師会が要望していた項目であり、尊厳の保障や寝たきりゼロに資するものとして評価したい」と述べた。
その上で、同常任理事は、今回の改定議論を振り返り、「介護保険の目的である″尊厳の保障"と″自立支援"へ着実に一歩踏み出した改定とすることができた」として、その内容を評価する考えを示した。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会介護保険課 TEL:03-3946-2121(代)