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令和3年(2021年)2月5日(金) / 日医ニュース

「じまんのしゃいん」

 "コロナ"という名前の全国区の企業が当地にある。暖房機器のリーディングカンパニーであり、地震や水害にも耐え抜いてきた。豪雪でトラックが使えない年、社員が総出でストーブを1台ずつ背負い、猛吹雪の中、何キロもの道を歩いて運んだ話は地域で語り継がれている。
 会社とは全く関係のないこの度の新型コロナ、名前が同じということだけで、多くの社員やその家族にさまざまな苦痛を与えた。親の会社を誇りに思っていた子どもたちが、学校でどのような風圧にさらされたかは、容易に想像できよう。
 心が折れかけた社員を案じた社長がメッセージを発した―「(途中略)キミのじまんのかぞくは、コロナのじまんのしゃいんです」。多くの人の心に響き、元気を与えた。社内の空気も一変して明るくなったと聞く。
 さて、当院では早くから陽性者を受け入れてきた。ドラマ以上の現実を、昨年5月のプリズムに寄稿した。コロナ後の、雨降って地固まるを期待して書いたが、今はもっと厳しい日々が続いている。近隣では大きなクラスターが発生し、医療職の感染も起きている。ついに2度目の緊急事態宣言となった。
 医療は国の安全保障である。ウイルスが舞う中、体を張って闘っている職員には感謝しかない。家に帰らず、ホテル泊で耐えている人もいる。社長のお言葉を借りれば、病院の「じまんのしょくいん」であり、地域の宝である。
 差別やいじめにはバチが当たる。

(骨コツ)

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