中川俊男会長は3月10日、記者会見を行い、国内各地で変異株が確認されている中で、首都圏では新規感染者数の報告が下げ止まりの状態から、横ばいあるいは増加の兆候が見られることを憂慮し、国民に対して、改めて日常の感染防止動作を細かく見直し確認するよう要望した。
中川会長はまず、首都圏1都3県に発令されている緊急事態宣言が3月21日まで2週間延長されたことについて、「政府が経済活動など様々な状況を踏まえながら決定されたもので、慎重かつ冷静で大局的な総理のご英断である」と述べ、評価する考えを示した。
その一方、国内各地で変異株が確認されている中で、首都圏では新規感染者数の報告が下げ止まりの状態から、横ばいあるいは増加の兆候も見られることを憂慮。「今の状況は、第2波の下げ止まりの状態が続き、結果としてより大きな11月以降の第3波に繋がった昨年の9月、10月に酷似しており、第3波が下げ止まっている現在、リバウンドによって、さらに大きな第4波を招来するおそれがある」として、これまでの対策の徹底と新たな対応が必要になると指摘した。
具体的な方策に関しては、2月25日の新型コロナウイルス感染症対策分科会が提言した、幅広いPCR検査、深堀積極的疫学調査、変異株のスクリーニング強化というリバウンド防止策を支持するとした他、国民に対しては、日常の感染防止動作を細かく見直し確認すること(マスクの素材やつけかた、手洗いの仕方、外出自粛等を、初心にかえって徹底する)を要望した。
更に、中川会長は、日本医師会の取り組みとして、(1)医療提供体制の確保、(2)ワクチン接種体制の構築―について説明。(1)については、四病院団体協議会、全国自治体病院協議会と密接に連携し、公立、公的、民間医療機関の総力を挙げて、全ての医療機関がそれぞれの役割分担のもと医療提供体制の確保に努めているとした。
また、(2)については、地域の実情に応じて集団接種、個別接種を組み合わせ、希望する方が速やかに接種を受けられるよう体制を整備しているとした上で、身近なかかりつけ医での接種を可能とするためには、滞りなくワクチンが配送されることも重要になると指摘。日本医師会としても全国のワクチン移送体制の整備状況を把握する調査を開始することを明らかとし、結果を精査して、国に必要な要望を行う意向を示した。
最後に、中川会長は「ワクチン接種がコロナ収束への切り札となることを期待するが、国民へワクチンが広く行きわたるまでには、まだ時間がかかる」として、感染リスクの高まるような行事や花見の宴会は行わないよう要請。「桜の木の下を通る際には立ち止まらず、密にならないよう花を愛でもらいたい」と国民に呼び掛けた。
問い合わせ先
日本医師会健康医療第2課 TEL:03‐3946‐2121(代)