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令和3年(2021年)5月5日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

医師の働き方改革の進捗状況について

日医定例記者会見 4月14日

医師の働き方改革の進捗状況について

 松本吉郎常任理事は、本国会において医師の働き方改革を含んだ医療法等の改正案が衆議院を通過し、参議院での法案審議が始まることを踏まえて、医師の働き方改革に関し、(1)都道府県医師会医師の働き方改革担当理事連絡協議会、(2)大学病院・基幹病院における地域医療支援、(3)医師の労働時間短縮計画、(4)特定高度技能、(5)医師一人ひとりの制度理解―の5点について、見解を述べた。
 (1)では、4月1日に「都道府県医師会医師の働き方改革担当理事連絡協議会」をWEB配信で開催したことを報告(別記事参照)。「日本医師会では、これまで、医師の働き方改革への理解の浸透が重要であると繰り返し述べてきたが、今回、都道府県及び郡市区医師会、病院団体、全国社会保険労務士会連合会等から815名に参加してもらい、医師の働き方改革について情報共有を図ることができたことは大変に有意義であった」として、開催の意義を強調した。
 (2)では、大学病院や基幹病院からの地方への医師派遣に関して、「地域医療提供体制の観点からは必須である」とするとともに、「全国医学部長病院長会議とも連携し、継続されている大学病院からの医師派遣が妨げられることのないよう取り組んでいく」との考えを表明。
 その上で、厚生労働省が全国の10大学病院・26診療科の勤務医を対象として実施した勤務実態調査において、医師派遣縮小の可能性に言及する診療科が26診療科のうち5診療科であったことに言及。4月8日開催の「医療に関する懇談会」において、全国医学部長病院長会議に真意を確認したところ、「医師の働き方改革を進めて労働時間の短縮を図ったとしても、地域医療に対して医師の派遣制限や引き揚げることを考えている大学病院はほとんどなかった。地域医療と大学機能の両方の維持を何とかしたいという考えである」との発言があったことを紹介し、「全国の医療関係者には、医師の働き方改革を進めても、医師派遣による地域医療支援をしっかりと堅持するという共通認識を持ってもらいたい」とした。
 また、懇談会では全国医学部長病院長会議から、「医師の働き方改革を進めて労働時間の短縮を図ったとしても、大学が地域医療の担い手としての機能を維持するためには、B水準・連携B水準・C―2水準の取得を進める必要がある」という趣旨の発言があったことにも触れ、日本医師会としては地域医療が維持できるよう、大学病院とも連携、協力しながら「医師の働き方改革」を進めていくとの考えを示した。
 (3)については、まず、昨年度に日本医師会が厚労省の「医師の労働短縮の取組み分析・評価のための『評価機能』の設置準備事業」を受託し、会内の医師の働き方検討委員会において、医師の労働時間短縮計画の評価項目と評価基準並びに、評価者の養成方法に関する提言、評価者を養成するに当たっての教材に関する報告書を取りまとめ、厚労省に提出したことを報告した。

評価機能は医療機関の取り組みの支援を行う仕組み

 各医療機関に対しては、「労働時間の把握等、36協定の締結、健康診断の実施などの基本的事項からしっかりと取り組んで欲しい」とした他、評価機能の仕組みについては、労働時間短縮への取り組みを行う医療機関を取り締まったり、罰則を与えるものではなく、体制が整備されていない医療機関に対し、取り組みの支援を行っていくものであることに理解を求めた。
 (4)に関しては、「全体的に幅広く、柔軟に捉えることが医療の進歩に資する」とするとともに、全ての医師に関係するものであり、その議論に当たっては、「技能の取得・更新は、時間が掛かることで、その努力はずっと継続していくべきもの」という前提で議論を進める必要があると指摘。B水準、連携B水準と併せて、C―2水準においても、医療の発展と医師の技能向上に寄与できるよう、厚労省、全国医学部長病院長会議、各学会と一緒に検討していきたいとした。
 (5)については、制度は個々の医師に直接関わるものであることから、今後は医師一人ひとりに制度の理解を深めてもらうことが大切になるとするとともに、健康診断の受診、面接指導、勤務間インターバルといった健康確保措置については医師それぞれが意識して取り組むことが重要であり、そうした啓発の取り組みを医療界全体で推進していくべきであるとした。
 最後に、同常任理事は厚労省、文部科学省に対して、改めて医師の働き方改革に関する全国の医療機関への分かりやすい情報提供を求めるとともに、日本医師会としても、行政、大学、学会といった枠組みに捉われることなく、「勤務医の健康確保」「地域医療の継続」の双方が両立する「医師の働き方改革」となるよう、今後も取り組みを進めていく決意を示した。

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