閉じる

令和3年(2021年)4月19日(月) / 「日医君」だより

第23回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第23回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が4月14日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長は、新型コロナウイルス感染症が全国的に再拡大しており、「まん延防止等重点措置」が4月5日には宮城県、大阪府、兵庫県、4月12日には東京都、京都府、沖縄県に適用されたことに言及。「各都道府県医師会においては、各地域の病院団体等と連携し、新型コロナウイルス感染症への医療と日常診療を両立させるべく医療提供体制の面としての機能強化・充実に取り組んでもらっているが、地域の医療提供体制には人的、物的資源の限界もあり、感染者数の増加が続けば医療提供体制がひっ迫することは避けられず、これまでで最大の危機を迎えている」と指摘。日本医師会としても、国民を始め関係各方面とこの危機感を共有するよう定例記者会見等を通じて強いメッセージを発信し続けるとの意向を示すとともに、都道府県医師会に対して引き続きの支援を求めた。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症の直近の状況等(ワクチン接種、変異株など、総合的に)、(2)今後の感染拡大に備えた医療提供体制、(3)新型コロナウイルス感染症対応国庫補助事業、(4)新COVID19JMAT保険、(5)新型コロナウイルス感染症に係る令和3年4月からの診療報酬上の臨時的取扱い、(6)ワクチン接種における本人の意思確認―についてであった。

 (1)では、釜萢敏常任理事がまず、変異株に関して「N501Yの変異がある変異株」と「E484Kの変異がある変異株」のそれぞれの評価・分析とその監視体制を説明するとともに、国立感染症研究所調査によるゲノムサーベイランスによる系統別検出状況を解説。今後、変異株のスクリーニング検査、ゲノム検査により、変異株の確定までの日数が短縮されることが期待できるとした。

 また、高齢者等、住民接種(医療従事者を除く)の際に使用するワクチン接種記録システム(VRS)に関しては、自治体の予防接種台帳への記録が迅速に行われることが可能になるとして、その入力への協力を求めた。

 その他、同常任理事は事前に寄せられたワクチン接種に関する訪問診療と高齢者施設における接種時のシリンジの扱いやワクチン接種後の発熱等体調不良に対する取り扱いについて回答。

 (2)では、猪口雄二副会長が厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部より3月24日に発出された事務連絡「今後の感染拡大に備えた新型コロナウイルス感染症の医療提供体制整備について」に基づき、その概要や"即応病床"と"準備病床"の定義について説明した他、4月7日に厚労省対策本部やDMAT事務局と医療機関及び介護施設におけるクラスター支援に関する意見交換を行ったことを紹介した。

 更に、4月13日付厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部及び医政局より発出された「ゴールデンウィーク等の連休時の医療提供体制の確保について」の事務連絡を説明した。

 その上で、日本医師会では、受入病床確保のための調整業務の補助として、都道府県医師会に対して、都道府県医師会・病院団体及び支部による協議会等が情報共有活動、受入病床・後方支援病床の確保を行った際の活動に係る財政支援を行うことを報告し、その活用を求めた。

 これらの説明に対して、兵庫県医師会からは自宅療養サポート体制に取り組んでいくに当たりかかりつけ医のワクチン接種が遅れていることを指摘するとともに、サポートするための支援条件の整備への要望があった。茨城県医師会からは最大確保病床に対する考え方と介護施設クラスターへの派遣要請をどこに求めるべきか、広島県医師会からは厚労省のいう今冬の1日当たり最大感染者数の2倍程度とする根拠について質問が出された。

 また、大阪府医師会からは変異型ウイルスの感染拡大によって、重症病床のひっ迫した現状や挿管を必要とする患者が若年層に集中していること、患者が離脱するまでの期間が延びている問題など、従来の感染流行期との違いが報告されるとともに、日本医師会に対して、新型コロナ患者受入病床確保に向けた支援に対する国への働き掛けを求めた。

 (3)に関しては、松本吉郎常任理事が、「更なる病床確保のための新型コロナ患者の入院受入医療機関への緊急支援(令和3年度)」について、その申請期限が5月5日から5月11日までに延長されたとし、令和2年度の緊急支援の補助を受けていない病床で、かつ12月25日から5月11日までに確保した即応病床数に応じた補助となり、令和2年度に補助を受けた医療機関においては、当該補助の後に新たに割り当てられた即応病床数が対象になること等を説明。

 また、「インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金(インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業実施医療機関支援事業)」については、これまでも制度の考え方や申請方法について周知してきたが、令和3年度(令和2年度からの繰越分)事業の交付要綱、申請様式の記入例等を示した。同事業により事業実績報告を行った医療機関において、想定よりも患者数が下回る等により、受け取る補助額が交付決定額を上回る場合には、令和3年度分の補助金として対応されることになったことを報告した。

 更に、令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金に関しても、原則として令和2年度に同補助金を受けていない医療機関等が対象になること等を説明。「その対象となっている医療機関には、ぜひ申請して欲しい」と呼び掛けた。

 (4)に関しては、今村聡副会長が本年4月1日からの変更点として、1.補償期間を「7日まで」から、「1日単位」へ2.派遣隊員を特定して引き受ける方式から、1日当たりの活動人数で引き受ける方式3.特定指定感染症一時金支払い特約の新設―について、内容を説明。ワクチン接種会場への派遣に係る保険料の取り扱いは、国庫補助事業の「新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業の委託費として差し支えない」旨、厚労省の確認を得ているとした他、「都道府県医師会や郡市区医師会と行政が、JMATとしてではなく、みなし公務員や準公務員の立場で医師等の派遣を行うこと等、安全かつ円滑に医師等の派遣ができると判断した場合はその方法を選んでもらっても構わない」と述べた。

 (5)に関しては、松本常任理事が、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全ての患者及び利用者の診療等について、「特に必要な感染対策」を講じた上で診療等を実施した場合の令和3年4月診療分から9月診療分までの診療報酬上の評価として、外来診療等及び在宅医療と入院診療で算定できる加算(5点、10点)について、それぞれ説明した。(日医ニュース令和3年2月20日号付録に掲載)

 (6)に関しては、江澤和彦常任理事が、厚生労働省健康局健康課予防接種室より発出された3月24日付事務連絡「成年被後見人等に対する新型コロナ予防接種を実施するに当たっての留意事項について」及び行政版Q&Aに基づき、インフルエンザのワクチン接種と同様の扱いとなることを説明した。

 これらの説明に対して、青森県医師会からは医療従事者がワクチン接種を受けられていないことから、接種医療機関内でワクチンが融通できるようにして欲しいとの要望や、福島県医師会からは医療従事者用のワクチンについて医療機関間で融通できないことで現場が混乱しているとの意見が出された。

 最後に総括した中川会長は、「大阪府医師会からの報告により危機感を全国で共有できたと考えている。指数関数的に感染者が増加すれば病床は不足してしまう。そうならないためにも徹底して感染者数を減らし、速やかにワクチン接種が行き渡らせることが大事になる」との考えを示した。

 次回は5月28日に開催される予定となっている。

◆映像・資料はメンバーズルーム内よりご覧いただけます。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる