5月12日より緊急事態宣言の対象区域が追加・延長されることを踏まえ、同日の定例記者会見で中川俊男会長は、今後、全国的に感染が急増する事態になれば、全都道府県を対象にした緊急事態宣言を躊躇なく発令すべきとした。
4月23日に東京都、京都府、大阪府及び兵庫県の4都府県に発令された緊急事態宣言は、5月12日から対象区域に、愛知県、福岡県が追加され、5月31日まで延長されることとなり、まん延防止等重点措置については、現在、沖縄県、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛媛県、北海道、岐阜県、三重県が対象となっているが、中川会長は、これらの対象地域以外でも感染拡大が続き、多くの都道府県で5つの指標がステージ3あるいは4以上になっていることを指摘。
感染力が高い変異株N501Yへの急速な置き換わりが進む中、変異株は病態や経過が明らかではないため、新たなウイルスとの闘いだと認識する必要があるとし、「指数関数的な短期間での感染者数の急増の可能性も否定できない。今後、全国的に感染が急増する事態になれば、全都道府県を対象にした緊急事態宣言を躊躇なく早めに発令すべきだ」との見解を示した。
一方、宣言解除の基準については、「ステージ2以下になって検討に入るべきと繰り返し申し上げてきたが、"いつまで"という期間ではなく、一定の目標を掲げて陽性者の減少や病床逼迫度の改善が達成されれば解除するという成果型にすることを提案したい」と改めて強調した。
また、ワクチン接種をめぐっては、(1)4月28日に都道府県医師会長、郡市区医師会長宛の接種推進への協力依頼文書発出、(2)4月30日に日本医師会館で、地域の予防接種体制の構築について武田良太総務大臣と会談、(3)4月30日に官邸で、ワクチン接種推進に向け菅義偉内閣総理大臣、田村憲久厚生労働大臣、河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣と日本医師会、日本看護協会との意見交換―を行ったことなどを報告。
全国の医師会は強い使命感をもって、地域の実情に応じ集団接種とかかりつけ医による個別接種を適切に組み合わせた接種体制の構築に全力で取り組んでいるものの、現在のような感染拡大が続けば、集団接種の会場や個別接種の医療機関に接種に来た無症状の感染者から感染拡大する恐れがあり、接種が一時的に中断されるだけでなく、日常診療や予防接種への対応まで手薄になってしまうことを危惧した。
その上で、政府に対しては、高齢者のワクチン予約において集団接種のデジタル予約で混乱が生じている地域があるとして、かかりつけ医での個別接種のアナログ予約の拡大を要望。国民に対しては、基本的な感染防止対策と、感染リスクが高まる場面の回避、換気などの徹底を改めて求めた。
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