猪口雄二副会長は5月26日の定例記者会見で、日本各地で接種体制が拡大されつつある、新型コロナウイルスワクチンの接種の現状と課題について、日本医師会の見解を説明した。
冒頭、同副会長は、新型コロナの収束への道筋をつけるためには、ワクチン接種を加速させることが重要な手段であると、日本医師会が繰り返し主張してきたことに触れた上で、イギリス型、インド型といった変異株に対しても、既存のワクチンが有効性を保っているとの研究結果があることを報告。ワクチン接種の加速には、大都市と地方、人口規模や医療資源、接種施設までの交通の便といった諸事情を勘案しつつ、地域の実情に応じ、集団接種と、かかりつけ医による個別接種を適切に組み合わせることが非常に重要であるとの認識を改めて示した。
続いて、5月24日に、東京と大阪に設置された、自衛隊が運営する国の大規模接種センターでのワクチン接種が開始されるだけでなく、各市町村の集団接種や、医療機関での個別接種を補完する形で、全国各地で大規模接種会場設置の動きがあることにも触れ、接種人材の確保に向け、看護職員に関しては、5月19日に開催された、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会による「新型コロナワクチン接種合同会議」において、日本看護協会より、4,200人を超える潜在看護職員や教職員が、就業・協力の意向を示し、都道府県ナースセンターでワクチン接種の研修を受け、待機しているとの情報提供を受けたことを紹介。併せて、日本看護協会の福井トシ子会長の要請を受け、24日付けで日本医師会より都道府県及び郡市区医師会宛てに、ナースセンターの積極的な活用を求める文書を発出したことも報告した。
また、日本医師会女性医師支援センターで運営している「女性医師バンク」、厚生労働省推進事業の医師募集サイト「Save the town」、厚労省が運営する医療職種等の人材募集情報専門WEBサイトである「医療のお仕事Key-Net」などに、多くの医師を始めとする医療従事者が、ワクチン接種の担い手として登録を行っていること(「女性医師バンク」では約750人、「医療のお仕事Key-Net」では約3,500人の医師が接種の担い手として手を挙げており、後者においては、1日当たり100名程度、新規登録が増加している)ことを明らかとし、各医師会、都道府県、市町村に対し、これらの人材の有効活用を求めた。
加えて、これまでの集団接種において、予診、特に持病や服薬の確認に手間取ることが多いとされることに対しては、かかりつけ医による個別接種は、被接種者の普段の健康状態を良く知るかかりつけ医であれば、予診等がスムーズに行われることが期待されるとして、「ワクチンについて分からないこと、接種を受けるかどうかなどについても、かかりつけ医に相談して欲しい」と呼び掛けた。
最後に、同副会長はワクチン接種の予約方法が地域によって異なることに触れ、「自治体の広報誌やホームページ、厚労省開設のコロナワクチンナビなどで確認するか、かかりつけ医等、お近くの医療機関にも相談してみて欲しい」と要請。更に、接種の当日には、腕を出しやすい服装で会場に赴くだけでなく、帰宅の際には、体調の変化に十分、留意することを求めた。
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