第24回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が5月28日、日本医師会館でWEB会議により開催された。
冒頭あいさつした中川俊男会長は、沖縄県を除く9都道府県に発令されている緊急事態宣言の期限が延長されたことに言及。宣言の延長には同意する意向を示す一方で、「国民は度重なる延長や自粛に疲弊している」として、政府に対して具体的な目標や対応策を示した上で進めることを求めた。
ワクチン接種に関しては、一層推進していくためには、大規模接種会場の他、集団接種、個別接種、勤務先や施設など幅広く接種が受けられるよう環境を整備することが重要だと指摘。「今後もワクチン接種に関わるさまざまな職種と連携して接種体制の整備を推進し、希望する全ての方々に対するワクチン接種が速やかに完了するよう努めていく」と述べるとともに、都道府県医師会に対して、引き続きの協力を求めた。
当日の議事は、(1)新型コロナワクチン接種等について、(2)新型コロナウイルス感染症対応日本医師会休業補償制度中途加入申込再開について 、(3) 新型コロナウイルス感染症患者の受入病床の確保について、(4)健康保険の被扶養者認定における新型コロナウイルスワクチンの接種業務に従事したことによる一時的な収入増加の取扱いについて、(5)施設内療養を行う介護施設等への支援について、(6)その他―についてであった。
(1)では、釜萢敏常任理事が 1.日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会と共に「新型コロナワクチン接種合同会議」を設置したこと、2.個別接種を促進することを目的として、新たな財政支援が行われること-などを説明。ワクチン接種の担い手不足が懸念されていることに関しては、各地域でどのような医療関係職種が足りないのか改めて検証を行うことを求めるとともに、不足している場合には、「日本医師会女性医師バンク」やナースセンターなど活用を求めた。
その後の質疑応答で、ワクチンに対するネガティブキャンペーンがあることについて見解を問われた釜萢常任理事は、ワクチンの効果に関する治験は蓄積されてきており、その効果は明らかだと強調。「日本医師会では積極的に推進していきたいと考えており、今後もあらゆる機会を通じて、国民に説明していきたい」と述べた。
新たな財政支援に対しては、「接種した人数で差をつける報奨金的な支援のやり方は医療にはそぐわない」との意見も出された。これに対して、今村聡副会長は「日本医師会としても同じ考えだ」とした上で、「接種を進めているのは、接種を希望する人にいち早くワクチンを届けたいと考えているからであり、お金のためではない」ということを、国民にも説明していく考えを示し、理解を求めた。
(2)については、今村副会長が中途加入を熱望される会員からの声を受けて、5月17日に中途加入申し込みを再開することにしたことを報告。休診日や土日・祝日を含む連続7日以上の閉院または外来閉鎖された時点で、損害額を見なして補償金100万円を請求できるなどのメリットを紹介し、その活用を求めた。
(3)に関しては、猪口雄二副会長が変異株においても、退院基準は従来株と同様であることの周知に対する協力を要請。加えて、後方支援医療機関への支援が手厚くなったこと、クラスターが発生した医療機関・介護施設等への医師を除く看護・リハビリ・介護職等の派遣が「COVID-19JMAT制度」では対象外となる部分をカバーする新たな補償制度の仕組みを設けたことなどを説明した。
(4)については、松本吉郎常任理事が新型コロナワクチンの接種業務に従事したことで、被扶養者に一時的に収入の増加が生じたとしても、直ちに被扶養者認定を取り消されない取り扱いを示す事務連絡が厚生労働省から保険者に発出されていることを説明。保険者に対するその旨の更なる周知を厚労省に申し入れ、善処するとの回答を得ていることを明らかとした。
(5)に関しては、江澤和彦常任理事が施設内で療養を行う介護施設に対して、感染対策の徹底、療養の質及び体制の確保等を行うことができるよう、更なる支援が行われることになったことを概説。加えて、高齢者施設等への集中的検査計画を策定している都道府県において、新型コロナウイルス感染症対策としての検査を実施している高齢者施設が少ないとの指摘があることを踏まえて、各施設に対して、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき都道府県から協力要請や施設運営上の指導が行われる可能性があるとの情報提供がなされた。
(6)では、松本常任理事が新型コロナウイルス感染症対策として設けられた補助金の交付決定が遅れていることについて、申請した医療機関からの問い合わせに対し、厚労省のコールセンターで個別の状況を回答できるようになることを報告。令和2年度の感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金に係る概算交付申請分から順次対応させると説明した。
その他、当日は、都道府県医師会から、「イベルメクチンを治療薬として使用できるようにして欲しい」「病床が足りずに入院できない人に対するステロイド使用に関する注意点などを示したマニュアルをつくってもらいたい」などの要望も出された。
最後にあいさつした中川会長は、「ワクチン接種といういまだかつて経験したことのない大事業が行われる今こそ、医師会の底力を見せる時だ」として、改めて協力を要請。また、医療法等の一部を改正する法律が成立したことにも触れ、都道府県医療計画のいわゆる5疾病5事業に新興感染症等への対策が追加されたことを高く評価するとともに、改正法の当該部分の施行が3年先の2024年4月とされているため、その施策の前倒しを国に対して強く求めていく考えを示した。
次回は、7月30日に開催される予定となっている。
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