日本医師会定例記者会見 8月4・18日
釜萢常任理事は、本年5月に日本医師会が実施した「令和3年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」の結果を公表した。
本調査は、医師会立の助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の把握を目的として毎年実施しているもので、今年度は対象とした316校全てから回答を得た。
調査結果の主な概要は、以下のとおり。
【学校数】
今年度募集を行った学校数は、准看護師課程155校、看護師2年課程63校、看護師3年課程69校、助産師課程5校である一方、募集停止は准看護師課程10校、看護師2年課程5校(昨年度からの募集停止を含めると7校)となり、厳しい状況となっている。
【入学状況】
准看護師課程の応募者数は平成28年度では約1万6500人だったが、今年度は約7900人と半減するだけでなく、入学者も約5500人と大きく定員を割り、各学校の平均倍率も看護師3年課程が2・1倍に下がり、准看護師課程も1・2倍、看護師2年課程も1・0倍となった。
【卒業後の進路】
准看護師課程の場合、医師会管内(設立母体の医師会管内の医療機関に就業した者)が28%、医師会管外(それ以外の県内の医療機関に就業した者)が15・3%、准看護師課程は、その性格上進学が多く、医療機関に就業しながらの進学も含めて44%であった。
また、看護師2年課程と3年課程では、医師会管内が5割強、医師会管外が3割弱、合計8割以上が県内の就業となっており、医師会立学校養成所が地域の看護職員の確保にいかに大きな役割を果たしているかが分かる(図)。
今回の結果を踏まえて、同常任理事は、「准看護師課程は近年で最多の募集停止数となるだけでなく、准看護師課程・2年課程を閉じて3年課程に移行する学校もごくわずかで、ほとんどが養成をやめてしまう状況となるなど、今後、地域の看護職員の需給に大きな影響を与えることになるのではないか」と現状を危惧。「国に対して、応募者の減少や実習施設・教員の確保や経営面で非常に厳しい状況にある医師会立の養成所に対する財政支援を引き続き求めていく」と述べるとともに、医師会立養成所の閉校が地域医療にどのような影響を与えているのか、実態を把握するための調査を早期に実施する考えを示した。
その上で、同常任理事は、「人口が減少する中で新たに看護職を目指す人の数を急激に増やすことは厳しいと思うが、社会人でも看護職を目指すことができる医師会立准看護師養成所が果たす役割は大きいものがあると考えており、今後も引き続き全力で養成所の維持に努めていきたい」と述べるとともに、この厳しい現状に対する理解を求めた。
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