第25回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が7月30日、日本医師会館でWEB会議により開催された。
冒頭あいさつした中川俊男会長は、7月23日に開幕した東京オリンピックに言及。開幕に先立ち、競技会場を有する都道府県医師会を中心に開催した「東京オリンピック・パラリンピックに関する都道府県医師会連絡協議会」で出された主な意見を説明した資料を、尾﨑医師会と東京都医師会、医療関係団体と共同で、「新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大への緊急声明」(以下、「緊急声明」)を発出したことを報告。政府に対して緊急事態宣言の速やかな発令等の緊急要請を行い、本日(30日)、国の基本的対処方針分科会が開催され、東京都と沖縄県の緊急事態宣言の期間延長及び、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府を同宣言の対象区域とすること等が了承されたとした。
中川会長は、これらの状況を踏まえて、「ワクチン接種の更なる推進が必須」と強調。感染力の強い変異株による感染をこれ以上拡大させないため、多くの方にできるだけ早急に2回の接種をしてもらうことが必要との認識を示し、「政府に対して引き続き、十分かつ安定的なワクチンの供給を強く要請していく」と述べた。
当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症の直近の状況等、(2)各地域における病床確保等の医療提供体制の状況、(3)その他―についてであった。
(1)では、釜萢敏常任理事が重症者・新規陽性者数等の推移を示しながら、新型コロナウイルス感染症の直近の状況等を説明。医療提供体制について、「急激に逼迫した状況になっていることが明らかになった」と述べ、政府のアドバイザリーボードでも強い危機感が示されていることを紹介した上で、モデルナ社製及びアストラゼネカ社製ワクチンの取り扱いの変更内容、今般特例承認された「抗体カクテル療法」の留意点等についても解説した。
その後の質疑では、ワクチン接種に関する年代区分の考え方や供給スケジュール、治療薬に関する現状等について質問が出され、釜萢常任理事が回答した他、医師や自治体にVRS等への早めの入力を求めるメッセージを日本医師会として出すことや、接種費用の見直しを求める要望等が出された。
(2)では、茨城県医師会、神奈川県医師会、福井県医師会、兵庫県医師会、奈良県医師会、鹿児島県医師会から、それぞれ病床確保等の医療提供体制の状況について説明が行われた後、意見交換が行われた。
意見交換では、兵庫県医師会が、医師会による宿泊療養や自宅療養への対応や退院後のサポートの重要性を強調した他、福井県医師会が、入院コーディネートに医師が関わることの有用性を紹介した。
また、茨城県医師会は、自宅療養のプロトコル等について質問。回答した江澤和彦常任理事は、自宅療養について、統一した基準ではなく、各地域で都道府県医師会と自治体等との取り決めの下で行われるべきであるとの認識を示した上で、地域の医療提供体制の状況に応じた臨機応変な判断が必要とした他、入院患者の多くが肺炎の画像所見を呈すること、発症初期から血液凝固能が亢進することなど、この1年間で蓄積された新型コロナウイルス感染症への臨床的な知見を生かすことを求めた。
最後にあいさつした中川会長は、「第4波と第5波は様相が違っている」と強調。本会議の議論を踏まえ、確保病床と即応病床の速やかな切り替えには日常からの関係者の情報交換が重要との見方を示した。
更に、日本医師会として引き続きワクチンの安定的な供給を政府に求めていくことを改めて説明するとともに、新型コロナウイルスへの対応について、「これからが正念場である」と述べ、都道府県医師会に協力を求めた。
次回は、8月27日に開催される予定となっている。
問い合わせ先
日本医師会 総務課、地域医療課、健康医療第2課 TEL:03-3946-2121(代)