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令和3年(2021年)9月16日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況について

 中川俊男会長は9月15日の定例記者会見で、(1)新型コロナウイルス感染症の感染状況、(2)ワクチン接種と行動制限の緩和―について説明を行った。

 (1)では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用状況及び全国的に見て減少傾向が続く新規感染者数について説明。減少の理由として、ワクチン接種を急速に推進してきた効果と全国での爆発的な感染拡大を目の当たりにして日常行動が変化した可能性を挙げた。
 一方、依然として新規感染者数は高い水準であり、重症病床の使用率が上昇している道府県もあるため、9月30日までされている今回の緊急事態宣言の解除に関しては慎重な判断を求めた。

 (2)では、まずワクチン接種の状況について、9月14日時点で2回目の接種が終了した方が51.5%に上るなど、全国の医師会、医師会員の底力を発揮することで、世界でワクチン接種先行国に急速に追いついてきていることを強調。
 そうした中で、ワクチン接種が進んでいない若い世代の感染者の割合が増加していることを踏まえ、全国の自治体に対し、接種を希望する若い世代、特に基礎疾患をもっている方や受験生が速やかに接種を受けられる機会の確保を要望した。
 また、世界のワクチン接種先行国の事例にも触れ、ワクチン接種が進んでも新規感染者数が再拡大している国もみられることから、「危機感をもって(動向を)注視している」と述べた。

 中川会長は次に、9月9日に政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議が示した、1.「ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」、2.「新型コロナワクチン接種証明の利用に関する基本的考え方について」―に対する日本医師会の考え方を説明。

 1.については、「日本医師会としても、ワクチン接種が更に進み、PCR検査機会の充実に加え、感染者数の減少が続くことを前提に、日本人の高い公衆衛生意識をもってすれば行動制限緩和の実現の可能性はあると考える」と述べ、その際には感染再拡大の兆しをいち早く察知し、先手先手の措置を取って感染防止対策を継続することが必要とした。

 2.については、「ワクチンは発症予防、重症化予防の効果を期待するもので、一定の感染予防効果が確認されているが、感染の可能性があり、ブレークスルー感染した人は無症状でも無自覚のまま他の人にうつす可能性がある」とした上で、「ワクチン接種証明は、"発症や重症化する可能性が低い"という証明にはなると思われるが、"感染しない、させない"ことを裏付ける根拠としては不十分である」とし、今後接種証明を本格的に活用するためには、ワクチン接種の意義と限界性の周知徹底が必要とした他、接種を受けたくても受けられない方への配慮を求めた。

 更に、1.及び2.の中で触れられている「ワクチン・検査パッケージ」に対する考え方も表明。PCR検査や抗原定性検査における偽陰性についての懸念を示し、「特に無症状の方の偽陰性は感染していないことの確信につながる可能性があり、注意が必要」とした。

 また、中川会長はPCR検査について、昨年8月5日の定例記者会見で「新型コロナウイルス感染症今後の感染拡大を見据えたPCR等検査体制のされる拡大・充実のための提言」を公表して以降、試薬や検査機器の供給充実、全国の医師会員の取り組みで検査数が増え、2021年9月8日時点では全国32,597医療機関が発熱外来を行っていることを紹介。

 加えて、抗原定性検査キットについては改めて各種注意点を解説し、「抗原定性検査キットでは、一般の方が自分で正しく検体を採取することは難しく、無症状の感染者の場合には、検体採取時に他の人へうつしてしまう可能性がある。抗原定性検査は無症状の方が対象ではないこと、結果はあくまでも目安であって、医師による診断ではないことをご理解願いたい」とした。

 その上で、中川会長は今回政府が示した2つの「基本的考え方」について、「その運用に当たっては、感染症から国民を守るという原点に立ち返り、慎重で丁寧な検討を行うとともに、具体的な運用の基準を明確にする必要がある」と強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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