第9回新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議が10月27日、日本医師会館でWEB会議により開催された。
会議は釜萢敏常任理事の司会で開会。冒頭、各団体からのあいさつで、中川俊男会長は、新型コロナ患者数が激減していることについて、「急減の要因はさまざまなことが考えられるが、それぞれの寄与度ははっきりしていない」として、第六波に向けて医療提供体制を整備していく必要性を強調した。
相澤孝夫日本病院会会長は、重症者や入院の減少によって病床にゆとりが出てきていると説明。これからどういった医療提供体制の整備をしていかなければならないかを、明確な根拠に基づいて進めていく必要があるとした。
猪口雄二全日本病院協会長(日本医師会副会長)は、新型コロナ患者数の激減により状況が様変わりしているが、各種行動規制の緩和によって感染状況がどうなっていくのかを注視していかなければならないとした。
加納繁照日本医療法人協会会長は、10月15日に「東京・大阪・沖縄におけるコロナ禍での民間病院の役割について」という資料を公表したことに触れ、大阪府では第四波の教訓が第五波に生かされたことなどを説明した。
山崎學日本精神病院協会会長は、「第六波が来た時に後悔しないような準備をすべき」と述べた他、重症者用の病床について、公表数と実際のかい離があると指摘した。
小熊豊全国自治体病院協議会会長は、新型コロナ患者が減っていることは喜ばしいと述べた一方、確保した病床の取り扱いに苦慮している状況を説明した。
また、伊原和人厚生労働省医政局長は、医療従事者へ感謝の意を示した上で、第六波が来た時に混乱状態を来さぬような医療提供体制について検討していく姿勢を示した。
当日の議事は、(1)今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療体制の整備、(2)政府「新型コロナウイルス感染症対策本部」「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」、(3)入院医療を支えるコロナ人材確保ネットワーク(仮称)、(4)令和3年度新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度及び令和3年度日本医師会休業補償制度―についてであった。
(1)では、熊木正人厚労省医政局総務課長が、1.今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療体制の整備状況、2.厚労省通知「令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施について」の一部改正―について説明。
1.では、今後の対応は少なくとも今夏における最大の感染拡大時と同程度の感染拡大が生じることを前提とした対策を進めていくとして、具体的な改善点を解説。都道府県には、遅くとも11月末までに、保健・医療提供体制確保計画を取りまとめて欲しいとした。
2.では、「令和3年12月末までの対応となっており、令和4年1月以降は、今後の感染状況、執行状況等を踏まえて検討する」とした上で、今後の継続について、「財政当局と検討を進めている」と述べた。
質疑では、宮川政昭常任理事が、資料に用いられている「陽性判明」という表現について、解釈に幅が生じないよう厚労省に説明を求め、使用する検査等を含めて、全て医師の判断であることを確認した。
(2)では、熊木厚労省医政局総務課長が、同対策本部において示された、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」の「骨格」や「今後の感染拡大に備えた対策強化のポイント」などの内容を説明した。
中川会長は、「全体像」の「骨格」の中に、ピーク時に即応病床と申告されながらも使用されなかった病床に関する不適切な表現が記載されていたことに触れ、厚労省に強く抗議し、記載された経緯の説明及び文言の修正を厳しく求めた他、「骨格」を基に11月中に取りまとめられる予定の「全体像」について、一般医療の制限の方向性が前面に出過ぎないよう要請した。
また、今夏の2倍程度の感染力を想定したシミュレーションにおいて、「入院患者の受入の2割増強を要請」や「病床の確実な稼働(8割以上の利用率)」が求められていることに関して、出席者から厚労省に対し、対象医療機関や数値の計算方法、実現可能性等についての質問や意見が噴出した。
(3)では、まず、厚労省が、「入院医療を支えるコロナ人材確保ネットワーク(仮称)」について、その概要等を説明。その後、猪口副会長が日本医師会の方針を説明した。同ネットワークの創設に対する異論は出ず、厚労省からはコラボレーションや連携を行っていく意向が示された。
(4)では、今村副会長が、「令和3年度新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度」と「令和3年度日本医師会休業補償制度」について、来期も継続すること及び今期の運用を踏まえた改善点を説明した。
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