中医協診療報酬基本問題小委員会(以下、基本小委)並びに総会が10月27日、WEB会議により開催された。
基本小委では、2022年度診療報酬改定に向けて入院医療等の調査・評価分科会が取りまとめた検討結果について、尾形裕也分科会長より報告を受けた。
議論の中で城守国斗常任理事は、「検討結果が20年度診療報酬改定の影響か、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響か、明確に線引きすることはできない。この結果を基に、現場に大きな影響を与える改定は実施すべきでない」として、改めて前回改定の手直しにとどめるよう要望した。
総会では「訪問看護」について議論が行われ、専門性の高い看護師・特定行為研修を修了した看護師による訪問看護が行われた場合に、「早期の治癒・状態改善が期待できる」「通院負担を軽減できる」といった効果が現れてきていることを踏まえて、専門性の高い看護師・特定行為研修を修了した看護師の評価を拡充する方向性が了承された。その評価の方法については、引き続き議論していくことになった。
議論の中で、城守常任理事は特定行為研修修了者について、専門看護師、認定看護師とは目的が異なることから、「例えば褥瘡(じょくそう)の研修を修了した看護師が、訪問看護に同行して褥瘡ケアを行う時に、対象疾患と看護師が一致するような制度設計が必要」と述べるとともに、医療機関からの訪問看護も同様に考えるべきと主張した。
また、理学療法士等による訪問看護については、前回改定で週4日目以降の評価の見直しを行い、6割以上となった看護職員割合要件について、城守常任理事は「継続すべき」とした上で、効果的な訪問看護を進めるため、指示書に理学療法士等が行う訪問看護の時間や頻度を記入することを提案した。
その他、当日の総会では任期満了を迎え、中医協委員を退任することになった松本吉郎常任理事が退任あいさつを行った。
松本常任理事は、医療的ケア児への対応や児童生徒の命や成長に関わるアレルギー疾患患者への情報連携に対する評価が導入されること等を例示し、これまでの議論を振り返った上で、「これらはまさに現場の切実な願いから発せられた求めである。中医協が真の役割を果たすためにも、引き続き、患者や現場の医療機関等が必要に迫られて発せられる案件を真摯(しんし)に議論することが重要になる」とした。
また、今回のコロナ感染症に対する対応については、「緊急性や迅速性、あるいは利便性が重要視されたものではあるが、安全性の議論がややもすると、不足していた感がある」と指摘。今後は医療安全の観点からもバランスを考慮した検証が必要になるとの考えを示した。
その上で、同常任理事は中医協委員に対して、「中医協は数ある厚生労働省の協議会、審議会、検討会の中でも特別な存在であり、そのことを再認識すべきである」と述べるとともに、厚労省に対して中医協の役割を守り抜いて欲しいと要望した。
薬価専門部会、調査実施小委を担当―江澤常任理事
なお、松本常任理事に代わる中医協委員には、江澤和彦常任理事が就任し、11月5日に開催された総会から出席した。
委員交代に伴い、城守常任理事は引き続き、基本小委、薬価専門部会、調査実施小委員会、費用対効果評価専門部会を、長島公之常任理事は基本小委、保険医療材料専門部会、費用対効果評価専門部会を、江澤常任理事は薬価専門部会、調査実施小委員会をそれぞれ担当することになった。