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令和3年(2021年)12月9日(木) / 「日医君」だより

令和4年度診療報酬改定に関する基本的見解を表明

 中医協の総会が12月8日、WEB会議で開催された。

 当日は、第23回医療経済実態調査の結果などを踏まえ、診療、支払両側からそれぞれ、令和4年度診療報酬改定に関する基本的見解を表明した。

 診療側委員を代表して説明を行った城守国斗常任理事は、まず、「診療報酬は、国民にとって安全で安心できる医療を提供するための原資であることはもとより、医学の進歩に伴う高度な医療に対応する設備投資、患者ニーズの多様化に応える医療従事者の雇用の確保及び拡充に不可欠なコストを賄っている」と述べた上で、「診療報酬は2年毎に改定されることから、その間の賃金や物価の動向を適切に反映するものでなければならない」と強調。医療機関等は、新型コロナに立ち向かうとともに、コロナ以外の地域医療も全力で守っており、診療報酬は十分な手当でそれに応えなければならないとした。

 また、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において、改めて医療現場における人材の重要性が認識されたとした上で、医療従事者の働き方改革と処遇改善を推進し、安定的な医療提供体制を維持することが必要であるにもかかわらず、医療機関等は、むしろ給与費を抑制せざるを得ない実態にあることを説明。「国民の安全を守るためには、地域の医療と医療従事者を支える適切な財源が必要であり、令和4年度の診療報酬改定ではプラス改定しかあり得ない」と強く主張した。

 引き続き各論の説明に入り、まず、医療機関等の経営はコロナ補助金がなければ著しく赤字の状態で再生産は不可能であることを強調。「新型コロナの影響を受け、令和2年度の医療費は前年度に比べて1.4兆円のマイナスとなっているが、令和2年度の診療報酬プラス改定の効果も含めて、本来あるべき医療費からみるとこれは甚大な損失であり、第23回医療経済実態調査の結果から見ても、医療機関はコロナ補助金がなければ著しく赤字の状態であることは明白である」と指摘した。

 次に、コロナ医療と通常医療を両立できる医療提供体制の再構築をするための対応としては、「平時の医療提供体制の余力が必要であることが明らかになった」と述べ、政府に適切な財源確保を要請した。

 更に、「医療の充実が経済成長、地方創生につながるのは明白である」として、令和4年度の診療報酬改定で十分な手当てを行うことを求めた。

 医療従事者の負担軽減及び医師等の働き方改革の推進については、「"まったなし"である」とする一方で、前回改定後、新型コロナウイルス感染症が感染拡大し、医療現場ではコロナ対応を最優先に行ってきたため、働き方改革に着手できかねる現状があると説明。働き方改革を確実に実行するためにも、診療報酬による適切な対応が必要であるとした。

 また、ICT活用等、医療の高度化については、「政府の成長戦略として別建ての財源を充当し、イノベーションのしっかりとした評価、促進をすべき」とした。

 その他、薬価改定財源の診療報酬本体への充当に関しては、「従来から診療側として主張している通り、診療報酬と薬価は不可分一体の関係にある。財源が切り離されるようなことがあってはならない」と強く主張した。

 城守常任理事は最後に、コロナ禍において、医療機関は補助金がなければ著しく赤字であることを改めて強調。「経営状況は極めて厳しい状況になっている。この状況を打破するためにもプラス改定を強く要望する」と結んだ。

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