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令和4年(2022年)1月5日(水) / 日医ニュース

女性医師支援活動の更なる充実を目指して

女性医師支援活動の更なる充実を目指して

女性医師支援活動の更なる充実を目指して

 令和3年度女性医師支援担当者連絡会が昨年12月5日、WEB会議との併用で、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じた上で、日本医師会館小講堂において、日本医師会女性医師支援センターと日本医学会連合の共催により開催された。
 同連絡会は、女性医師支援に関する取り組みを紹介し、情報共有を行うことで、女性医師支援活動の更なる充実を図り、医療界における男女共同参画の実現に資することを目的としている。
 今年度はリモート開催により、質疑応答は委託企業の質問サイトで行った。
 神村裕子常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで中川俊男会長は、女性医師の比率が増加し、日々志高く活躍している状況を評価する一方で、出産・育児により職を離れるケースはいまだ見受けられ、30代半ばを過ぎる頃に女性医師の就業率が大きく低下する傾向があると指摘。「人生の中で環境の変化が多いこの時期を、男女問わず育児などを行いながら就業を継続することができ、いったん職を離れた医師が復職しやすい環境整備が進み、多様で柔軟な働き方が実現することを願う」と述べた。
 続いてあいさつに立った門田守人日本医学会連合会長は、「女性を支援するという言葉が果たして正しいのか。また、支援を受ける側に対する潜在的な差別の意識は残っていないのか、我々が正面から向かっている問題点の裏にあるアンコンシャスバイアスを見逃さぬよう改めて考える必要がある」と指摘。「女性医師支援においては、ホワイトウォッシュの発想を捨て、本物の解決策を探していくことが重要になる」との考えを示した。
 その後、議事に入り、今村聡副会長/女性医師支援センター長が「女性医師のキャリア支援」として、女性医師を取り巻く背景や就業上の課題、医師養成課程における女性医師への対応、法制度の改正について報告した他、日本医師会作成の冊子『医師の多様な働き方を支えるハンドブック』を紹介した。
 次に、神村常任理事が、「女性医師の多様な働き方―産業保健を中心に―」として、産業医の就業割合や活動実態、現在の産業医制度等について説明し、労働衛生概念の変遷を基に、「女性医師支援センターとしても、支援という形ではなく、それが当然という枠組みで、全ての医師が働けるよう取り組んでいきたい」と述べた。
 続いて、岸玲子日本医学会連合理事/北海道大学環境健康科学研究教育センター特別招へい教授が、「医師の働きかた改革:日本医学会連合からの報告と提言」として、初めに過労死に代表される長時間労働の歴史について紹介。その上で、日本の医師の働き方や医師不足の実態、長時間労働による心身の健康と医療事故の関係等を報告し、キャリア形成の課題と課題解決のための方向性について自身の考えを示した。
 その後、大学、学会並びに都道府県医師会より取り組み事例の発表が行われた。
 まず、西田幸代札幌医科大学附属病院女性医師等就労支援委員/日本泌尿器科学会ダイバーシティ推進委員は、日本泌尿器科学会と札幌医科大学が実施した、コロナ禍が医師に及ぼした影響に関するアンケート結果について報告。「コロナの家庭への負担は女性に重くのしかかっている」とする一方、女性にはレジリエンスの高い人材が多く、組織の中枢には必要な存在だと強調した。
 次に、川瀬和美日本外科学会労働環境改善委員会委員は、日本内科学会、日本産科婦人科学会、日本外科学会を対象に、女性医師の妊娠出産に関する調査を行った結果を踏まえて、各学会の共通点と相違点を報告し、アカデミックな分野でも更に女性が活躍していける体制を構築するために、引き続き調査を行い、改善策を検討していく意向を示した。
 続いて、相馬葉子兵庫県医師会男女共同参画推進委員会担当理事は、兵庫県医師会男女共同参画推進委員会が行っている主な14項目の事業内容について報告。同じような課題に積極的に取り組んでいる他の都道府県医師会の情報も取り入れながら、今後の活動を進めていくとした他、神戸大学が行っているD&Nplusブラッシュアップセンターの活動についても紹介した。
 当日の参加申込登録者は351名であった。

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