日本医師会定例記者会見 1月19日
松本吉郎常任理事は、日本医師会が昨年12月から本年1月にかけて、都道府県医師会長を対象に実施したオンライン診療に関するアンケートの結果を報告した。
今回の調査は、オンライン診療についての地域の実情や考え方、そして、適切な場面への支援のあり方について聞くことで、今後の日本医師会の施策の参考とするために実施したものである。その主な結果は以下のとおりである。
●日本医師会が「オンライン診療は、解決困難な要因によって、医療機関へのアクセスが制限されている場合に、対面診療を補完するもの」であると考えている点について
44医師会から同意を得た。
●「医療機関へのアクセスが制限される解決困難な要因」に相当すると考えられるケースについて
「離島・へき地など地理的アクセスが制限されている場合」(47医師会)、「感染症の流行などで国や自治体から外出の自粛が要請されている場合」(45医師会)、「難病等診療可能な医療機関が限られている疾病に対する場合」(41医師会)が上位3ケースであった。
●患者本人の都合によりオンライン診療を希望される場合に関して、オンライン診療を行っても良いと考えられるケースについて
「解決困難な要因以外の患者都合で行うべきではない」が43医師会と最も多かった。
●対面診療なしで、オンライン診療のみで完結する診療についてどう考えるかについて
「一切認めるべきでない」(11医師会)、「基本的には認めるべきでないが、結果的にオンライン診療のみで完結してしまった場合は、やむを得ず認める」(15医師会)、「指針で認められている診療(禁煙外来など)のみ認める」(18医師会)となった。
●日本医学会連合の『日本医学会連合オンライン診療の初診に関する提言』に沿って、医師が「緊急性」や「情報量や対応手段の問題」から、初診からのオンライン診療に適さない症状ではないと判断できる場合のみ行うべきとの考え方の是非について
41医師会が「これで良い」との回答だった。
●令和2年4月10日発出の、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての時限的・特例的取り扱いにおける「一定の医薬品(麻薬及び向精神薬並びに診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方の禁止」及び「処方日数の上限を7日とする」ことに関して、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、指針)にも盛り込むべきという考え方の是非について
45医師会が「これで良い」との回答だった。
●指針において、医師の資格確認、患者の本人確認手段の具体例として、医師はHPKIカード(医師資格証)や医師免許証、患者は保険証やマイナンバーカード、運転免許証等の提示が挙げられていることについて
「画面上での提示でよい」(25医師会)、「画面上の提示だけでなく、システム上で電子的な確認を行うべき」(14医師会)、その他としては、初診で画面提示だけでは無理があるが、システムを入れることで手間やコストが増大することへの懸念を示す意見が複数見られた。
●オンライン診療を利用する際に、システム事業者が提供すべきと思われる運用サポートについて
「セキュリティの確保」(42医師会)、「トラブル時の対応」(43医師会)、「特になし」(2医師会)、その他の考えでは、トラブル対応が時間外や離島・へき地でも行えるのかといった懸念や、利用者への研修やマニュアルの必要性、個人情報漏洩(ろうえい)時の補償が挙げられていた。
●オンライン診療が真に必要とされるところ(離島・へき地、難病等)に普及するために必要と考える事項(または、真に必要とされるところに普及しない理由)について
「医療提供側や患者側のICTリテラシー」「システムコスト」「国による整備・補助」「ネットワークなどのインフラ環境」などが挙げられた。
●医療機関が、必要とするオンライン診療を低コストで適切に進めていく上で、日本医師会に求める支援の方策などについて
「日本医師会でシステムを開発して欲しい」「国でコスト面を補助して欲しい」「国でシステムを開発して欲しい」といった要望が見られた。
これらの結果を受けて、同常任理事は「今回のアンケート結果を踏まえながら、引き続きこの問題に取り組んでいく」との考えを示した。
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日本医師会情報システム課、地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)