中川俊男会長は2月9日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症対策や、ワクチンの追加接種、国内の感染状況などについて、日本医師会の見解を説明した。
中川会長は冒頭、2月1日に後藤茂之厚生労働大臣と面談した際に、社会機能維持者である濃厚接触者の待機期間の取り扱いを、1回のPCR検査や抗原定量検査で解除するよう要望したことについて、迅速な対応を頂いたことに謝意を示した。
【新型コロナウイルス感染症対策】
新型コロナウイルス感染症対策については、後藤厚労大臣に加えて、2月3日に面談した堀内詔子ワクチン接種推進担当大臣からもワクチン追加接種への協力等の要請を受けたことを踏まえ、都道府県医師会長に対して行政や関係団体との一層の連携強化の上、地域の実情に応じて、郡市区医師会と共に診療・検査医療機関の拡充と公表、ワクチン接種の推進、及び早期退院患者の受入体制の充実に努めてもらえるよう依頼したことを報告した。
また、政府に対しても、改めて医療機関の負担軽減と支援を要請し、特に、喫緊の課題として、抗原定性検査キットの不足を解消に向け、全国の診療・検査医療機関の発熱外来へ抗原定性検査キットを最優先で供給してもらえるよう要請した。
診療・検査医療機関については、全国で約35,000施設の登録がされているが、現在、都道府県のホームページ等で公表されているのは約7割となっていることに関しては、日本医師会の聞き取り結果を基に公表されていない理由として、「電話対応の人出が足りないこと」や「コロナ以外の患者との時間的・空間的分離が難しい」ことなどの事情があることを説明する一方で、埼玉県、高知県では、全ての診療・検査医療機関を公表し、順調に運用されていることを報告。かかりつけ医がいない方々にとっては、診療・検査医療機関の公表は正に命綱になるとして、前向きな公表を呼び掛けるとともに、その拡充についても発熱外来への患者の更なる受け入れと、これまで発熱患者を受け入れていない医療機関には新たな診療・検査医療機関としての協力を求めているとした。
【ワクチンの追加接種】
ワクチンの追加接種については、堀内ワクチン接種推進担当大臣から、かかりつけ医による追加接種の必要性や交互接種に関する情報発信の要請を受け、日本医師会では、動画「進めよう!ワクチン接種」を制作し、2月9日から日本医師会公式YouTubeチャンネルで公開していることを紹介した他、政府の3回目の追加接種のリーフレットを、かかりつけ医から患者さんに渡してもらえるよう都道府県医師会宛に周知したことを報告した。
また、岸田文雄内閣総理大臣が2月中に1日当たり100万回接種を目指す方針を表明されたことにも触れ、日本医師会としても全面協力するとの意向を示した上で、自治体によっては接種券が届かないとシステム上運用できないところがあるとして、その改善策として、集団接種会場に空きがあれば、2回目までの接種記録で当日接種できる方法などを提案した。
更に、各医療機関ではワクチンの納入予定が決まらないために予約を取れない現状があるとして、政府に対して、ワクチン供給予定の早めの情報提供を改めて求めた。
【国内の感染状況について】
国内の感染状況に関しては、全国の新規感染者は、増加のスピードは落ちつつあるが、その中心は20歳代ではあるものの、70歳以上の割合が増加しているとし、まだまだ増加傾向であるとした。
また、現在の状況はオミクロン株の感染拡大により、発熱等の症状で、重症化リスクが低い方には受診前に抗原定性検査キット等で自ら検査の上受診し、医師の判断で再度の検査を行わずに確定診断して差し支えないなどとする1月24日の厚労省の事務連絡で示された「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況」から「外来医療のひっ迫が想定される場合」に移行しつつあるとし、今後、この事務連絡を活用した、重症化リスクの高い感染者により重点化した医療提供体制が求められるとの見解を示した。
更に、国内で検出されているほとんどがオミクロン株であり、その下位系統であるBA.1、BA.2、BA.3のうち、現在、国内で検出されているほとんどがBA.1であるが、デンマークやインドではBA.2が増加し、検疫ではインド、フィリピン等の渡航歴からBA.2系統が検出されていることを報告。BA.2の実行再生産数はBA.1より18%高く、感染力が高いBA.2の拡大状況により感染者が増加に転じるなど、その状況は刻々と変化するとして、引き続き気を緩めることなく、その時々の状況に全力で対応していく姿勢を示した。
問い合わせ先
日本医師会 健康医療第2課、地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)