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令和4年(2022年)2月10日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

中医協答申を受けて

 日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は2月9日、同日開催された中医協総会で、令和4年度診療報酬改定について答申されたことを受け、合同で記者会見を行った。

 会見には、中川俊男会長、堀憲郎日本歯科医師会長、山本信夫日本薬剤師会長が出席した。

 中川会長は冒頭、今回の改定について、「令和4年度の診療報酬改定に向け、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は、新型コロナウイルス感染症と全力で闘っている医療従事者と医療機関を支えるため、全力を挙げて診療報酬本体のプラス改定を求めてきた」とした他、昨年11月9日に開催された国民医療推進協議会の総会において、「国民の生命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症対策における有事の医療提供体制と、新型コロナウイルス感染症対策以外の平時の医療提供体制は、車の両輪として何としても維持しなくてはならない」との決議が採択されたことを説明した。

 また、議論の過程において財政制度等審議会から"躊躇なくマイナス改定を行うべき"といった主張もあったことに触れ、「地域医療を守るためには、経常的な診療報酬で医療機関経営が成り立つようにしなければならない。同感染症への対応を通じて、通常の医療の余力こそが有事の際の対応力に直結することも、まさに明らかとなった」と強調した。

 改定率に対する所感としては、「昨年12月22日の厚生労働大臣、財務大臣合意において、国家財政が全体として極めて厳しい中、令和4年度の診療報酬改定について本体プラス0.43%と決定されたことを率直に評価したい」と述べるとともに、今回、看護の処遇改善のための特例的な対応にプラス0.2%が確保されたことに関しては、今後、医師、歯科医師、薬剤師をはじめ、広く医療従事者の処遇改善、働き方改革につながっていくことに期待感を示した。

 次に、同答申について、「新型コロナウイルス感染症への対応」「かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の評価」が大きな柱であるとの見方を示し、「同感染症流行下で医療提供体制が逼迫する中、地域で身近なかかりつけ医師、歯科医師、薬剤師が患者さんに寄り添うことの大切さが改めて認識された。三師会として、今回の診療報酬改定は、かかりつけ機能を後押しするものと受け止めており、それに応えられるよう、かかりつけ機能を充実させていきたい」とした。

 公益裁定となった、(1)急性期入院医療の重症度、医療・看護必要度に係る評価項目及び該当患者割合の基準、(2)オンライン診療に係る算定要件、施設基準及び点数水準―についても言及し、(1)では、「心電図モニターの管理という内科系の患者像を表す項目が削除された。現在、新型コロナウイルス感染症に対応している医療機関の経営に更なる影響を及ぼすことになり、残念だ」と述べた他、「重症度、医療・看護必要度」については、「毎回の診療報酬改定で手直しが行われている。これは、医療提供体制を確実に維持するための予見可能性を低下させるものだ」と指摘。不合理な内容については是正しつつも、今回の改定をもって一旦立ち止まり、中長期的な視野に立って、あるべき姿について改めて考えること求めた。

 (2)では、対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないものであることが明確化されたことを評価する一方、規制改革を推進する立場からオンライン診療拡大に向けた強い要求があり、医師・患者間の時間・距離要件の継続等が認められなかったことに触れた。

 また、リフィル処方箋の導入についても、受診回数の減少を通じ、医療費の抑制を企図する財政当局からの強い要請があったことを説明。「保険診療には地域医療を守るという重い役割があり、患者さんの安心と安全を最優先にしなければならない。診療報酬はその要件も含めて、そのための国民への約束であり、しっかりとした要件の下、患者さんの安全を丁寧に確認しつつ進めていくべきと考える」と強く主張した。

 中川会長は最後に、「答申書附帯意見では、オンライン診療やリフィル処方等、引き続き検討すべき項目が掲げられてる。今後、問題があれば抜本的に修正する覚悟も辞さず、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は、しっかりと検証していく」として、今後も状況を注視していく姿勢を示した。

 当日は、中川会長に引き続き、堀日本歯科医師会長、山本日本薬剤師会長も今回の改定に対する考えを述べた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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