閉じる

令和4年(2022年)4月5日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「医療AIの加速度的な進展をふまえた生命倫理の問題」まとまる

 生命倫理懇談会(座長:永井良三自治医科大学長)が会長諮問「医療AIの加速度的な進展をふまえた生命倫理の問題」について答申を取りまとめ、3月1日に中川俊男会長に提出した。
 本答申は、(1)はじめに:問題の背景、(2)AIの応用と技術的限界、(3)AI規制とガイドライン:世界の検討動向、(4)AI開発と利用における説明と責任、(5)AI開発と利用における個人情報の扱い、(6)まとめと提言―から構成されている。
 (3)では、AIを人工知能ではなく、Augmented Intelligence(拡張機能)と表現し、人間が主体的に用いて、あくまでも支援するものとして位置付けるべきとの見解を示すアメリカ医師会、世界医師会など、世界各国で展開されている医療におけるAI活用に関する議論を紹介している。
 (4)では、倫理的課題として、医療AIを日本の医療の中でどのように位置付けていくべきかを問う医療のグランドデザインに関する論点の他、医療AIの利用による医療全体への影響を考える論点として、患者、市民、医療従事者の視点が重要であること等を指摘している。
 更に、法的課題として、製造販売する業者と使用する医療者それぞれの責任を示すとともに、ICMRA(International Coalition of Medicines Regulatory Authorities)の報告に触れ、法と倫理の交錯する医療AI開発における課題を挙げている。
 (5)では、倫理的課題として、医療の進歩、医療基盤の整備には医療データの活用が必要となる一方で、どのように個人情報を保護するか、患者と医師との関係への影響について記している他、医療情報の利活用には柔軟性と安全性を兼ね備えた規律を設ける必要があることを指摘している。
 また、(6)では、医療AIは、上手に活用すれば極めて有用であるとする一方で、医療固有の多くの懸念が存在することから、医療AIの健全な発展を促す上でも、AI開発と活用のあり方を患者、市民、医療従事者が一体となって検討を続ける必要があるとして、別掲の六つの提言がなされている。
 3月9日の記者会見でその内容を説明した羽鳥裕常任理事は、「日本医師会としては、学術推進会議が2018年に答申をまとめて以降、医療AIに関する検討を深めてきたが、状況は目まぐるしく変化しており、引き続きこの動きを注視していきたい」と述べるとともに、本答申を国の検討会にも提出するなど、広く周知していく意向を示した。

医療AIに関する提言
1.人間の尊厳と公共性、包括性、公平性を高める医療AIであること
2.人間の意思を尊重し、医療の公共性を守る医療AIであること
3.人間が理解し、判断の根拠を説明できる医療AIであること
4.医療AIの使用による事故の責任が明確であること
5.継続的に開発・改良できる医療AIであること
6.医療AIに関する教育と研究を推進すること

 

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる