令和4年(2022年)5月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
「遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的不利益の防止」についての共同声明を公表
日本医師会・日本医学会
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日本医師会と日本医学会は4月6日、合同記者会見を行い、「遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的不利益の防止」についての共同声明を発表した。
記者会見には、日本医師会から中川俊男会長、羽鳥裕常任理事、日本医学会から門田守人会長、門脇孝副会長がそれぞれ出席した。
今回取りまとめた共同声明では、現在、全ゲノム解析研究が国策として進められ、患者とその血縁者を対象としたゲノム解析や遺伝学的検査が急速に医療の場で展開されようとしている中で、わが国においては、遺伝情報・ゲノム情報の取り扱いに関するルールが個人情報保護法しかないことを問題視。このままでは、患者やその家族が遺伝情報・ゲノム情報に基づく不当な差別や社会的不利益を受ける可能性を払拭(ふっしょく)できず、患者・家族だけではなく、現時点では遺伝との関連を自覚していない多くの健康な方々にも不安が広がる恐れがあり、わが国での遺伝情報・ゲノム情報を用いた新規医薬品開発やゲノム医療の導入の障壁となることも懸念されるとして、国、監督官庁、遺伝情報・ゲノム情報を取り扱う可能性のある保険会社等の事業者及び関係団体に対して、別掲の3点の実施を求めている。
当日の会見では、門田日本医学会長が「この問題に関しては、日本医学会の『遺伝子・健康・社会委員会』で検討を行ってきたが、関連学会からの要望を受けて、今回声明を取りまとめることになった」とその経緯を説明。その上で、「この問題は人間の存在にも関わる大きな問題である。日本医学会が創立されてから120年が経過したことを踏まえて、今後何をすべきか考えていく上での第一歩として、今回声明を公表できたことは意味がある」として、その意義を強調した。
声明の内容を説明した門脇日本医学会副会長は、声明は日本医学会所属の全ての分科会の賛同を得た上で、日本医師会の役員会でも了承を得たものであることを報告。また、声明を取りまとめた背景については、ゲノム医療が保険適用される可能性も出てきたこと、遺伝子の面から将来のリスクが早い段階で予想できるようになったことを受けて、社会環境の整備を早急に進めなくてはならなくなったことが挙げられるとした。
中川会長は、「門田会長から共同声明を出したいとの申し出を受け、その内容については全く同感であることから、今回共同声明を出すことになった」とした上で、「日本医師会では、これまでにも会見等で遺伝子検査ビジネスの問題などを指摘してきた。今後も日本医学会と共に、遺伝情報・ゲノム情報による不当な差別や社会的な不利益を防止する環境整備に努めていきたい」との考えを示した。
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