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令和4年(2022年)4月21日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

ウクライナへの医療支援について

 中川俊男会長は4月20日の定例記者会見で、ウクライナへの医療支援について世界医師会(WMA)及び日本医師会の活動を報告した。

 中川会長はまず、ウクライナへのこれまでの日本医師会の医療支援として、3月9日に1億円、多くの寄附を頂いたことにより、4月1日にも1億円をWMA「ウクライナ医療支援基金」に送金したことを改めて説明した。

 次に、WMAの動きとして、4月7日から9日まで、パリ理事会が開催されたことを紹介。同理事会では緊急案件として、「ロシアの侵攻に直面するウクライナの医療従事者と国民の支援に関するWMA理事会決議」が採択され、「ウクライナからの避難民を受け入れる全ての国に対し、全ての避難民に安全で適切な生活要件が満たされ、必要に応じて適切な医療を含む必須サービスが確保されるよう要請する」とされていると説明した。

 また、「タスクフォース・ウクライナ」の動きについて詳説し、(1)4月14日に会合が開催され、第1弾として約7,700万円(約57万ユーロ)を要した医薬品・医療物資の調達及び搬送について、搬送に帯同し、5日間リビウに滞在したWMA元会長のレオニード・エイデルマン教授が報告。WMA「ウクライナ医療支援基金」からの拠出で調達された医療物資はウクライナ医師会によって確実に受け取られ、ウクライナ医師会とウクライナ保健省との協力の下に、最も重要なニーズのある地域に確実に配送された、(2)ウクライナ医師会と共に進行中のニーズを評価し、必要な医薬品の最新リストを作成。リストには、主に外傷治療用の応急処置キット、止血帯、包帯、止血ガーゼ、胸腔脱気ニードル、胸部シール、外傷バサミ、鼻咽頭エアウェイ、耐熱ブランケットなどの医療器具・消耗品が列記され、搬送も含め、約6,900万円(約50万ユーロ)相当の費用が見込まれている、(3)医療物資は、ウクライナ全土に物資を供給しているウクライナのNGO人道支援団体「FREEDOM TO UKRAINE」に託すのが最も適しているとの考えが示された、(4)課題であったキーウのウクライナ医師会との連絡手段として、より強力かつ安全性が高いとの判断で、米起業家のイーロン・マスク氏がウクライナに提供した衛星インターネットサービスシステム「スターリンク」を利用していくことにした、(5)スイス医師会から支援の申し出を受け、同医師会が第2弾の医療物資をウクライナへ搬送する際に、支援が可能か確認をすることにした―ことを説明した。

 続いて、WMAが、4月18日にウクライナ東部ドンバスに対する大規模攻撃が開始されたことにより、更に多くの被害者が出ることを懸念し、一層の医療支援の必要性を強調していることに触れ、攻撃されているウクライナ西部のリビウは、「タスクフォース・ウクライナ」の医薬品・医療物資を含め、物資を配送するための主要なハブであり、更に、避難民にとってのハブでもあることから、WMAは非常に心配しているとした。

 更に中川会長は、WMA「ウクライナ医療支援基金」への寄附金について、4月13日現在、約2億7千万円(約200万ユーロ)に達したことを報告。しかし戦況はより深刻になっているとして、日本医師会として、近日中に寄附金から追加の1億円を送金する予定であり、「今後も引き続き寄附金をお願いしたい」と協力を求めた。

 最後に、WMAが4月7日に、ロシア軍が民間人や産科病棟を含む病院を攻撃し、紛争地帯での医療の中立性を侵害していることに深く衝撃を受けているとしたプレスリリースを公表したことに言及。

 同プレスリリースでは、紛争の当事者が、関連する人道法を尊重し、医療機関、労働者および車両を標的にしたり、負傷者や患者の医療へのアクセスを制限したり、医療施設を軍事施設として使用したりしないこと、医療へのアクセスは、市民または軍に関わらず、全ての被害者に保障されていること、医師及び全ての医療従事者は、いかなる状況においても揺るぎない義務の行使を妨げられてはならないことなどを訴えていると説明した上で、「日本医師会はウクライナの医療支援についてWMAと引き続き強く連携し、全国の都道府県医師会、郡市区医師会とともに、ウクライナやウクライナの方々、日本に避難された方々への支援を継続、強化していく」と強い決意を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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