中川俊男会長は6月15日の定例記者会見で、ウクライナへの医療支援活動の近況について報告した。
中川会長はまず、ウクライナへのこれまでの医療支援として、日本医師会から3月9日に1億円を、また日本医師会に寄せられた寄附金から4月1、22日にそれぞれ1億円の計3億円をウクライナ医療支援基金に送金したことを説明。当基金には、日本からの寄付も含め、これまで約280万ユーロ(約3億9,000万円)の寄附金が寄せられ、そのうち約140万ユーロが医療支援物資の購入と搬送に係る3つのプロジェクトに活用されたとした。
次に、タスクフォース・ウクライナによる医療支援活動の近況では、3月26日に完了した第1プロジェクトによる約60万ユーロ相当の医薬品・医療物資の搬送に続き、第2プロジェクトの医療支援物資が搬送されたことを報告。今回は、医薬品に加え、外傷治療用途の応急処置キット、止血帯、微孔性応急処置テープ、胸部シール、耐熱ブランケットなど約50万ユーロ相当であるとし、イスラエルで調達された後、ポーランドへ空輸されリビウに搬送後、「Freedom to Ukraine」の協力を得て、6月5日にウクライナ国内の医療拠点に配送されたことを概説した。
「Freedom to Ukraine」は、慈善団体として孤児や低所得家庭の子ども達の発育、教育、治療、サポートに携わっていたが、2月24日、ロシアの軍事侵攻以来、人道支援団体として、ウクライナ国民への強力な支援を行っていると紹介した。そして、同団体が8トンにも及ぶ医薬品、医療物資の搬送を受け、タスクフォース・ウクライナに感謝の意を表した状況を収めた動画を近々日本医師会のホームページに掲載すると述べた。
更に、タスクフォース・ウクライナが、ドイツのザクセン州医師会及び、ウクライナの取り残された家族に食糧、医療、避難所、教育の提供を目的とするNGO「Hope for Ukraine」と協力し、ウクライナ中部チェルカースイ地域の要望に応じた約30万ユーロ相当の医療支援物資の調達と搬送を行う第3プロジェクトを明らかにした。さらに、ドイツのヘッセン州医師会が医療支援物資の調達に前向きであるとし、タスクフォース・ウクライナが連携を図っているとした。
中川会長は、世界医師会のオトマー・クロイバー事務総長が、ウクライナへの医療支援活動について、困難ではあるが誇りに思うとし、短期間で戦争が終結する兆候はなく、支援は引き続き重要であり、仮に、明日軍事侵攻が終焉を迎えたとしても、医療支援に対する大きな需要は依然として残るとして、資金が続く限り活動を継続していく意向であることを紹介。「日本医師会もタスクフォース・ウクライナのリーダーシップをとって、ウクライナへの医療支援活動をしっかりと続けていく」と強調し、引き続きの支援を求めた
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