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令和4年(2022年)6月20日(月) / 日医ニュース

日本医師会のコロナ対応に関する取り組みと今後の課題等を説明

日本医師会のコロナ対応に関する取り組みと今後の課題等を説明

日本医師会のコロナ対応に関する取り組みと今後の課題等を説明

 中川俊男会長は5月20日、都内で行われた第3回新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議のヒアリングに招かれ、日本医師会のコロナ対応に関するこれまでの取り組みと今後の課題等について説明した。
 本会議は、政府がまとめる予定の「感染症危機管理の抜本的強化策」に向け、これまでの政府のコロナ対応について検証などを行うことを目的として設置されたものである。
 当日は医療関係団体(中川会長の他、堀憲郎日本歯科医師会長、山本信夫日本薬剤師会長、福井トシ子日本看護協会長、相澤孝夫日本病院会長が出席)、専門家からのヒアリングが行われた。
 中川会長は資料として、「新型コロナウイルス感染症対策への日本医師会の取り組み中間報告(2020年7月~2022年4月)」を提示。その上で、(1)日本医師会はコロナ医療とコロナ以外の通常医療の両立を守りながら、政府の方針に全面的に協力してきた、(2)直接コロナ患者を診ることが難しい医療機関では、往診や健康観察、コロナ患者を診ている医療機関の通常医療の患者や急患の受け入れなど、地域の医療を面として支えてきた、(3)ワクチン接種に関しては全国の医師会と医師会員の底力を発揮し、1日約170万回接種を達成した―こと等を説明した。
 また、政府の対応については、「刻々と変わる状況、限られた情報の中で、未知のウイルスの感染対策と社会経済活動の両立に対し、迅速な対応を迫られてきた」とした上で、「その時点で考えられる最良の対策をとってきた」との考えを示した。
 その他、現時点における日本の新型コロナウイルス感染に関連した人口当たりの死亡者数が、G7諸国の中でも一桁少ない水準で抑えられていることにも言及。この要因として、わが国の医療提供体制が決して脆弱(ぜいじゃく)ではなく、それを維持するための医療従事者の献身的な努力と、日本国民の日頃からの公衆衛生意識の高さがあると指摘した。
 今後の課題については、「今回の新型コロナウイルス感染症対策においては、国や地方の機関を束ね、情報を一元化し、迅速かつ的確に対処方針を示す権限を有する司令塔の必要性を再認識した」と振り返り、引き続き、「いわゆる日本版CDC」の創設を国に対して強く求めていく意向を示した。
 更に、感染症対策を国家の危機管理として捉え、今後も起こり得る感染症の拡大に平時から備え、絶えず必要な準備をしなければならないと指摘。そのためにも、有事にも対応できる余力のある医療提供体制の構築が不可欠であるとした。
 その上で中川会長は、検証に当たっては、「あの時こうしておけば、より良かったということもあるかも知れないが、現時点での知見を基準に批判的な評価をするのではなく、今後の対策に生かしていくことが大事である」と主張。引き続き、全国の医師会、医療機関、医療関係団体と共に、コロナ医療とコロナ以外の通常医療の提供の確保に最大限尽力していくとして、理解を求めた。
 構成員との質疑応答の中では、一部の診療所の開業医がコロナ対応に協力していないのではないかとの批判に対して、中川会長は、コロナ医療と通常医療を絶対に両立しなければならないということが日本医師会の基本的なスタンスであることを改めて説明。「いろいろな診療科目があり、診療の場所もかなり狭く、通常医療の患者と発熱・コロナ患者をゾーニングできないところもある。対応ができるのに協力しなかったというところはない」と反論した。
 また、かかりつけ医の制度化を求める意見に対しては、「かかりつけ医は患者側が決めるものであり、信頼関係で結びついた患者と医師の関係をこれからも推進していきたい」と述べ、かかりつけ医の制度化に明確に反対する考えを示した。

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