日本医師会定例記者会見 6月29日・7月13日
城守国斗常任理事は、委員会での検討や都道府県医師会を対象としたアンケート調査の結果を踏まえ、医療従事者の安全を確保するために、各関係機関が取り組むべき対策案を取りまとめたとして、その内容について報告した。
同常任理事は、今回の対策案を取りまとめた背景について、大阪府、埼玉県において患者及び医療従事者の安全・生命が脅かされる重大な事件が相次いで発生したことを受けて、医療現場、特に訪問診療などに携わる全ての医師・医療従事者の安全をいかに確保するかについて、早急に検討する必要があったと説明。
その取りまとめに当たっては、「医療従事者の安全を確保するための対策検討委員会」を会内に設置し、警察庁、厚生労働省等、関係機関と共に検討を重ね、具体的には、①医療従事者の危険察知力の醸成のため、研修会等が必要である②応招義務に対する正しい理解を得るための周知を行う③医療従事者の相談に対応できる相談窓口等を設置する④事件が起こったあるいは起こりそうな場合に備え、警察との連携構築が重要である⑤地域における危険情報の共有が可能なネットワークを構築する⑥各医療機関において防犯対策を行う―ことがその対策案として指摘されているとした。
また、本委員会の議論の中で、「医療従事者に現実に危険が差し迫った状況下では、警察による緊急の対応が必須である」との意見が多く上げられたことを受けて、6月に、日本医師会長名で警察庁長官に対して、各都道府県医師会と警察との間での緊密な関係構築に協力を求める「医師会及び医療機関への安全確保に資する支援について」と題する文書を送ったことを報告した上で、警察庁から各都道府県警察に向けて、直ちに本件の周知文書が発出されたことを明らかにした。
更に、城守常任理事はこの取りまとめの「おわりに」を示し、「医療は、医療従事者と患者の信頼関係のうえに成り立つものであり、医療従事者の安全・安心が確保された医療現場は、ひいては、患者にとっても安全・安心な医療を受けられる基盤となる。このことを国民全体で理解し、その信頼関係の構築のために、医療従事者、患者はもとより関係機関を含むさまざまな立場からの弛みない取組が求められる」という結びの記載を強調した。