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令和4年(2022年)8月10日(水) / 「日医君」だより

第35回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第35回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が8月9日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭のあいさつで松本吉郎会長は、「6月より新執行部となった。都道府県医師会の先生方が日々地域医療の現場で抱える諸課題や、ご意見などを本協議会で議論させて頂き、新型コロナ収束に向けて一丸となって取り組んで参りたい」とし、引き続き都道府県医師会と連携を図っていく姿勢を強調。

 また、岸田文雄内閣総理大臣からの要請に基づき、7月22日に土日や祝日、お盆休みの発熱外来の実施について都道府県医師会、郡市区等医師会に協力依頼したことを説明した。更に当日、後藤茂之厚生労働大臣(当時)からもお盆期間中の協力要請があるとした上で、「当面高い水準の感染拡大が予想されている。医療現場には大変な負荷が掛かっている中、大変心苦しい重ねてのお願いだが、お盆の期間中についても発熱外来等での患者受け入れについてご協力頂きたい」と呼び掛けた。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症の現況等、(2)第7波に関連する厚労省通知等、(3)コロナ人材ネットワークによる研修―についてであった。

 (1)では、釜萢敏常任理事が国が開催している各審議会等の資料に基づき、新型コロナウイルス感染症の現況等について説明した。

 まず、厚生科学審議会感染症部会については、臨時国会における感染症法の改正の議論に先駆け、現行法の課題と対応等について検討を始めたところであると前置きした上で、HER-SYSで行っている全数把握に代わる事務負担の少ない新たな仕組みの創設なども検討していくことを概説。唾液検体を用いた抗原定性検査の活用に関し、無症状者の唾液検体を確定診断として使用することは推奨されないが、感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能とすることが了承されたとした。

 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードについては、感染の状況など近況を報告。また、専門家有志において取りまとめ、8月2日に公表された「『感染拡大抑制の取り組み』と『柔軟かつ効率的な保険医療体制への移行』についての提言」の資料が説明された旨の情報提供を行い、この中で、現行法・通知解釈の範囲で運用可能なステップ1、将来的な法改正を伴うゴールに向け対応を進めるステップ2に分けての提言がなされていることを補足した。

 新型コロナウイルス感染症対策本部決定「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減への対応」については、医療機関の負担の増加に鑑み、都道府県等が体調悪化時等に連絡ができる健康フォローアップセンター等を開設し、連絡先を患者に伝える体制が構築されている場合には、重症化リスクの低い患者の発生届の届出項目を患者・疑似症患者等の診断した者の類型に加えて、氏名、性別、生年月日、報告日、住所(市区町村名まで)、電話番号のみに簡略化できることとなったとした。

 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会については、オミクロン株(BA.1)対応ワクチンに関し、令和4年10月中旬以降に初回接種(1回目、2回目接種)を完了した全ての人を対象に接種を実施する方向で検討したことを報告。また、5~11歳の小児へのワクチン接種は更なる接種勧奨とともに努力義務とする方針が了承されたとした。

 (2)では、釜萢常任理事が、第7波に関連する厚労省事務連絡等のポイントを概説し、都道府県等から配布された抗原定性検査キットを用いて、診療・検査医療機関において医師が必要と判断し検査を実施した場合、診療報酬における検体検査実施料及び検体検査判断料は算定でき、行政検査の対象となることが明示されたとした。

 (3)では、猪口雄二副会長が、新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワークについて、都道府県医師会、郡市区医師会を想定した初期対応コースと、国立国際医療研究センターや大学病院等を想定した中等症対応コースで展開していることを説明し、都道府県医師会に対して大学や病院団体と連携しつつ研修を企画することを要望した。

 意見交換では、各地域での取り組み事例の紹介がなされ、HER-SYSの入力簡素化に好意的な発言が見られる一方、全数把握にこだわらず重症者に絞って詳細な情報を入力すべきだとの意見や、ワクチンの4回目接種において、当初、医療従事者と介護従事者が対象とされなかったこと、第7波の状況からこれまでの疾患の概念とは変わってきていることなどについて、さまざまな意見が寄せられた。

 統括を行った松本会長は、医療現場の極めて厳しい状況下での先生方の協力に深く感謝するとともに、この局面を乗り越えるためにも、医療機関が一丸となって取り組んでいくよう引き続きの協力を求めた。

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