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令和4年(2022年)12月21日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況等について

 松本吉郎会長は12月21日の定例記者会見で、(1)新型コロナウイルス感染症の感染状況並びにワクチン接種、(2)年末年始に向けた対応―について、日本医師会の見解を説明した。

 (1)では、まず、新型コロナウイルス感染症の感染状況について、「全国的に増加傾向が顕著になってきており、遅れて感染拡大した地域では増加幅が大きくなるなど地域差が見られる」と報告。手洗いや手指消毒、適切なマスクの着用、換気といった基本的な感染防止対策と合わせて、オミクロン株対応型ワクチンの接種を希望する未接種の人は接種を受けて頂くよう呼び掛けた。

 オミクロン株対応ワクチンの接種状況については、首相官邸の公表データ(12月20日)から、12歳以上の接種率は30.6%、65歳以上の高齢者は50.5%であり、年末に向けて徐々に接種率が上昇していることを説明した。

 (2)では、年末に向けた対応として、「ワクチン接種、発熱等の症状が出た時の備え、感染予防が重要」と強調した上で、日本医師会のこれまでの対応として、ワクチン接種と基本的な感染防止対策の徹底を呼び掛けるとともに、会員の先生方には、厚生労働省の「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」で作成したリーフレット等を用いて国民への呼び掛けに対する協力を求めてきたことなどを説明。「これらを引き続き継続していきたい」とするとともに、国に対しても積極的な広報を求めた。

 また、現在、「新型コロナと季節性インフルエンザの同時期の流行に備えて準備しておくべきこと」「喉の痛みや発熱などの症状が出た場合の対処法」などについて、釜萢敏常任理事が分かりやすく説明する動画を制作しており、年末までに日本医師会公式YouTubeチャンネルに掲載する予定であることを明らかにするとともに、その視聴を呼び掛けた。

 各地域医師会による発熱外来の診療体制づくりに関しては、全国の都道府県医師会及び郡市区医師会を対象に実施した「新型コロナウイルス感染症第8波(季節性インフルエンザとの同時期流行)、年末年始等に向けた発熱外来診療体制に関する状況把握調査」の途中集計結果の状況を概説。12月20日までに回答のあった432医師会のうち、休日夜間診療所などいわゆるセンター方式による152カ所の発熱外来には、「自院ではコロナ対応をしていない会員が、診療科を問わず幅広く出務している」が63施設、「自院ではコロナ対応をしていない会員のうち、主に内科や小児科等、感染症に関わりの深い診療科の医師が参加している」が65施設と、2つ合わせてセンター方式の発熱外来のほぼ全てを占めていることを報告した。

 この他、各地域医師会による診療体制づくりとして、1.感染症とはあまり関連しない診療科の医師に参加してもらうためにマニュアル作成、研修等を実施2.問診から、抗原検査、PPEの着脱等について解説した発熱外来対応マニュアルや、「感染症対策のためのカンファレンス」の開催、「感染症対策のための防護服着脱訓練」を実施3.診療検査医療機関に登録していない医療機関に向けての講習会で一般小児科開業医としての発熱外来の実際を講演し、更なる理解を求める取り組みを行う4.休日応急診療所で発熱外来を経験した医師が、自院で発熱外来を開始5.眼科医や皮膚科医が、コロナ感染あるいは抗ウイルス薬服用時の発疹等に対応するなど、専門的診療を分担する―などといった取り組みが行われていることを紹介。

 更に、年末年始の体制作りについては、複数回答で、「診療・検査医療機関の増加」が154医師会、「各医療機関で当番制」が155医師会、「休日夜間診療所など医師会施設での発熱外来への出務」が98医師会であったことを説明した。

 その上で、松本会長は、「これらの結果からも、各地域の医師はゾーニングやリスクの高い患者を多く抱えるなど、特別な事情で自身の医療機関では発熱外来を実施できなくとも、地域の住民・患者を守るかかりつけ医として、医師会活動に参画することで役割を果たされていることが分かる」と地域の医師の果たす役割の重要性を強調した。

 その他、松本会長は、12月23日に今年最後の新型コロナウイルス感染症に関する都道府県医師会とのオンライン会議を開催することにも触れ、年末年始の感染拡大、あるいは季節性インフルエンザとの同時期流行への備えについて、改めて協力要請を行う考えを示した。

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 会見に同席した釜萢常任理事は、まず、全国的な感染状況について、徐々に増加している状況にあり、このまま年末年始を迎えることになるとの見通しを示した。

 また、中国で新型コロナの新規感染者・死亡者が急拡大していることに触れた上で、免疫の状況や変異株の様子が感染拡大に大きな影響を及ぼすとの見解を述べつつ、2価ワクチンの接種率が徐々に増えてきている一方で、諸外国と比較すると日本の感染者の割合はあまり多くないことから、今後も感染が拡がっていく可能性があると指摘した。

 次に、変異株については、BA.5がほとんど占めていた時期から、BA.5以外の変異株が検出される割合が増加してきている一方で、BQ.1やBQ.1.1といったオミクロン株の特定の亜系統に、全て置き換わることはないのではないかとの考えを示し、「今後もどのような推移を辿るか注意が必要」と強調した。

 季節性インフルエンザの感染に関しては、昨年の同時期よりも増えているが、全国的に感染者が多い状況ではないとしつつも、引き続き注視する必要があるとした。

 また、2価ワクチンの接種については、ワクチンに対するさまざまな意見があることは承知しているとした上で、「12歳以上の希望する全ての人が接種を受けられる体制は整えられており、ワクチン接種をぜひ検討して欲しい」と述べた。

 更に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けについては、新型コロナとインフルエンザは別の性質をもつウイルスであることを強調。「新型コロナとインフルエンザを比較して評価することは適切ではない」と指摘するとともに、見直しをすることで医療従事者が従事できなくなることや医療提供の低下が起きないように、慎重に議論していくのが適切ではないかと指摘した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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