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令和5年(2023年)5月20日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

診療所の光熱費の変動に関する実態調査結果を公表

日本医師会定例記者会見 4月26日

診療所の光熱費の変動に関する実態調査結果を公表

診療所の光熱費の変動に関する実態調査結果を公表

 宮川政昭常任理事は、日本医師会が実施した「診療所の光熱費の変動に関する実態調査」の結果を報告。1施設当たり電気料金と都市ガス料金の合計で、1カ月当たりの対前年増加額が有床診療所では平均約21・8万円、無床診療所では平均約3・8万円(いずれも調査対象3カ月の平均)となっており、7割を超える診療所から、「経営に影響がある」との回答があったこと等を明らかとし、引き続きの支援を強く求めた。
 本調査は、2021年並びに2022年の10~12月分の電気・ガス料金及びその使用量等について、都道府県医師会で任意に抽出した診療所を対象に2023年1月30日~3月24日を調査期間として行ったものであり、無床診療所400件、有床診療所61件から計461件の回答を得た。
 主な調査結果は以下のとおりとなっている。
 「1施設当たり電気料金」については、有床診療所で2022年12月分の前年同月比で23万2134円増加となり、仮に1年間続けば、270万円ほどの上昇となる。無床診療所では、2022年12月分の前年同月比で4万3969円増加となり、仮に1年間続けば、50万円ほど上昇する。
 「1施設当たり都市ガス料金」については、2022年12月分の前年同月比で1万7054円の増額となり、仮に1年間続けば、20万円ほど上昇する(病床の有無別では、有床診療所の場合、2022年12月分の前年同月比で5万5715円増額し、無床診療所の場合、7564円増額となる)。
 また、「1施設当たりLPG/プロパンガス料金」では、2022年12月分の前年同月比で3146円の上昇となっていた。
 「電気・ガス単位当たり料金(電気料金は1kWh当たり、ガスは1㎥当たりの単価)の対前年比」については、2022年12月分で、電気料金142・3%、都市ガス150・8%、LPG/プロパンガス107・1%であった。
 「単位当たりの電気料金」は、2021年10~12月の3カ月平均で1kWh当たり24・8円に対し、2022年10~12月では35・2円となり、1kWh当たり10円超の価格上昇が認められた。
 「光熱費の上昇が自身の医療機関の経営に与える影響はどの程度ありますか」の設問では、「深刻な影響がある」19・5%、「影響がある」53・8%で、計7割以上が「影響がある」と回答しており、更に、有床診療所では、「深刻な影響がある」44・3%、「影響がある」45・9%で、影響の大きさが浮き彫りとなった(図)
 「令和4年10~12月に、都道府県・市町村から光熱費の高騰に対する補助金・助成金がありますか」の設問では、「都道府県からある」が155件、「市町村からある」は40件であり、令和4年10~12月時点では地方自治体から地方交付金による補助を受けた診療所は限定的であった。
 その他、自由記載では、「換気をしながら適温を保つ必要がある」「すでに節電には取り組んでいた中での今の高騰で、これ以上の対策は難しい」「1月は更に値上がりする」との意見があった。
 宮川常任理事は本調査の結果を受けて、(1)昨年9月の地方創生臨時交付金の積み増し決定により物価高騰への補助が行われてはいるものの、自治体によって補助額にバラツキがあり、光熱費の値上がり分の1カ月~数カ月分にとどまっている、(2)電気料金の単価の上昇は1kWh当たり10円を超えており、本年1月分以降を対象として行われた国の激変緩和措置による値引き(高圧契約の場合3・5円/1kWh、低圧契約の場合7円/1kWh)だけでは追い付かない―ことが明らかになったと指摘。「本年3月に決定された地方交付金の積み増しによる支援において、更には今後も機動的な支援の実施など、公定価格で運営される医療機関への十分な配慮が必要である」として、引き続きの支援を求めた。

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◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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