松本吉郎会長は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の感染状況やワクチン接種について、日本医師会の対応や考えを説明した。
まず、松本会長は、5月8日より新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類感染症に位置付けられ、法律に基づき行政がさまざま要請・関与をしていく仕組みから、個人の選択を尊重し、自主的な取り組みをベースとした対応となったことを説明。
また、感染者数の把握については、毎日、医療機関等から報告されていた全数把握から、一週間分を一部医療機関が報告する定点把握の運用に変更後、初めての報告が5月19日に厚生労働省より発表されたことに触れ、「5月14日までの1週間の1医療機関当たりの平均患者数は2.63人で前週の1.46倍に増加している。地域による感染状況の差異もあるが、4月以降、緩やかな感染拡大傾向が見られ、引き続き、感染の動向を注視していく必要がある」との認識を示した。
その上で、松本会長は、新型コロナ患者や濃厚接触者に対して、感染症法に基づく外出自粛が求められなくなったことから、コロナ感染者が受診控えをしたり、外出してしまうケースが出てくることに懸念を表明。発症後10日間が経過するまではウイルスが排出し、他者へうつす可能性があることを指摘し、不織布マスクの着用や高齢者等のハイリスクの人との接触を控えるなど、周囲の人へうつさない配慮が引き続き重要だとして、理解と配慮を求めた。
新型コロナのワクチン接種については、令和5年5月8日から、初回接種を受けた高齢者や基礎疾患を有する重症化リスクが高い人に対する令和5年「春開始接種」が開始された他、「秋開始接種」や乳幼児の初回接種、小児の追加接種などについても、引き続き特例臨時接種が延長されており、今年度内も自己負担なく接種が受けられることを説明。松本会長は、「ウィズコロナの中で市中における感染再拡大や重症化を防ぐことは、医療提供体制だけでなく、経済活動や国民生活においても非常に重要である」と強調。これまでも日本医師会から地域の医師会や会員に対してワクチン接種の協力を求めてきたが、今年度のワクチン接種についても積極的に協力し、実施していく姿勢を示した。
会見に同席した釜萢敏常任理事は、「日本医師会として引き続き、新型コロナワクチン接種の情報を十分にお伝えし、理解をして頂いた上で、類型変更後においても、接種を希望する全ての人が、できる限り迅速に接種を受けられる体制をとるために、全国の会員と共にしっかりと取り組んでいく」として、5月8日以降の新型コロナワクチン接種について解説した。
春開始接種(5月8日~8月)では、65歳以上の高齢者、基礎疾患を有する人(5~64歳)、医療従事者等に対して、オミクロン株対応2価ワクチンを使用することを概説。オミクロン株対応2価ワクチンは、BA.1対応型とBA.4-5対応型の2種類があるが、どちらもオミクロン株に対する効果は期待できると強調した。
また、6カ月~4歳の乳幼児は専用の1価ワクチンによる初回接種(3回で終了)が、また、12歳以上で体調面から2価ワクチンが受けられない人の接種については、武田社組み換えタンパクワクチン(ノババックス)の接種が、引き続き公費で受けられる体制をとっていると述べた。
秋開始接種(9月以降)では、使用するワクチンに関して、今後どの株を使用するか検討した上で決定するとし、初回接種を終了した5歳以上の希望する全ての人が受けられると説明。この他、2価ワクチンは前回接種から3カ月の間隔を空ける必要があるとして、その点を踏まえてスケジュールを考えるよう呼び掛けた。
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