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令和5年(2023年)5月29日(月) / 「日医君」だより

第39回新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第39回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が5月23日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした松本吉郎会長は、3年以上にわたる新型コロナウイルス感染症との闘いにおける全国の医師会、医療従事者等の尽力に改めて感謝の意を示した上で、「新型コロナの感染症上の位置付けが5類に変更となったが、根本的な問題は解決していない。次の感染拡大に向けて、どういう体制で臨んでいくのかが重要である」と強調。本協議会での現状や課題の共有に期待を寄せた。

 当日の議事は、(1)日本医師会より新型コロナウイルス感染症について(1.「みんなで安心マーク」の院外・HPでの掲示終了のお願い2.令和5年度のCOVID‐19JMAT保険3.令和5年度の「新型コロナウイルス感染症の対応にあたる医療従事者・医療現場への支援に向けた寄附金」を用いる事業4.新型コロナウイルス感染症対応 休業補償制度と医療従事者支援制度)、(2)厚生労働省より感染症法上の位置づけの変更―についてであった。

 (1)では、「みんなで安心マーク」について釜萢敏常任理事が、「2020年8月より開始、本年3月13日をもって新規発行を終了し、最終発行数は26,741件となった」と報告。その上で、医療法上は「安心」という表現を用いた広告は認められないものの、本マークはコロナ禍での特例として扱われてきたが、その根拠となるチェックリストを定めた業種別ガイドラインが5月8日に廃止されたため、3カ月程度の期間内に院外・HPでの掲示終了を要請していることを説明した。

 「COVID‐19JMAT保険」については、猪口雄二副会長が新型コロナの類型変更により、5月7日をもって重症化リスクの高い人の「宿泊施設・自宅等での療養」を入院とみなして保険金を支払う取り扱いが終了したことを概説。8日より、約款上の「入院」の定義のとおりの取り扱いになるとした。

 「新型コロナウイルス感染症の対応にあたる医療従事者・医療現場への支援に向けた寄附金」を用いる事業については、まず猪口副会長が「新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワーク事業」に関し、今後、起こり得る病毒性の強い新型コロナウイルスの変異株による感染拡大、並びに新興感染症のまん延時に備えるため、人材確保のための研修や派遣への補助を継続することになったこと、そして、「新型コロナウイルス感染症の変異株及び新興感染症に対する医療提供体制調整業務への補助事業」については、今年度から補助対象を新型コロナウイルス感染症のみでなく、今後起こり得る新興感染症に対応するための医療提供体制の調整業務にまで拡大した上で、引き続き、1都道府県医師会当たり500万円を上限に補助を継続することになったことを報告した。

 続いて釜萢常任理事が、医師会立看護師等養成所の臨地実習時における新型コロナの検査費用についても、実習施設からの求めにより実施する場合は、1人当たり年間10,000円を上限に、引き続き補助していくとした。

 「新型コロナウイルス感染症対応 休業補償制度と医療従事者支援制度」については、今村英仁常任理事が令和4年度契約における加入施設数は7,569施設で、前年度の64.9%となっていることや、保険金の支払いは2年度が0.8億円、3年度が26.1億円、4年度が1.3億円と推移していることを報告。5月8日以降も従来どおり、「休診日を含む連続7日以上の閉院」となった場合に補償金を支払うとし、制度の活用を求めた。

 一方、「医療従事者支援制度」に関しては、役割を終えたものとして募集を休止しているものの、保険金支払いは継続しており、累計では100億円近くになるとの見通しを示した。

 (2)では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更の経緯や内容について、宮崎敦文内閣官房審議官が詳説。5類感染症となったことで、流行状況については新型インフルエンザ等感染症と同様に、約5,000の定点医療機関からの報告に基づき把握することになったとして協力を求めるとともに、抗体保有率調査なども重層的に実施することで感染の把握に努めていくとした。

 続いて、位置付け変更後の医療提供体制として、大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官が診療報酬上の取り扱いの変更などを解説。5類となってもウイルスの特性は変わらず、外来では感染対策の継続や、そのための消耗品等の費用が掛かることから、設備の整備や防護具の確保などの支援を続ける他、高齢者施設等でのクラスター対策や、オンライン診療、往診、訪問看護等における支援も継続するとの説明がなされた。

 また、類型変更に伴う医療提供体制について、行政の関与を前提とした限られた医療機関による対応から、幅広い医療機関による自律的な対応に移行するため、各都道府県において策定された「移行計画」の集計結果を紹介。入院体制については、全国8,300医療機関で、最大5.8万人のコロナ患者への対応が可能であることが確認されたことを明らかとした。

 その後、各議題について活発に意見交換が行われたが、ワクチンの発症予防効果についての疑義については、大坪大臣官房審議官が、「ワクチン接種は現在、重症予防効果に主眼を置きつつ実施されているが、発症予防効果も少なからず認められている」として、重症化リスクの高い人だけでなく、追加接種の対象となる全ての人に接種を実施する意向を示し、個別医療機関を中心とした接種について医師会への協力を呼び掛けた。

 総括では、松本会長が「感染者がじわじわと増えてきた印象があるが、引き続きさまざまな情報を寄せて頂きたい」と述べた。今後の本協議会については、新型コロナの感染状況を踏まえ、必要に応じて適宜開催する方針であることが示された。

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