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令和5年(2023年)7月5日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

一般用医薬品の濫用について

日本医師会定例記者会見 6月7日

一般用医薬品の濫用について

一般用医薬品の濫用について

 宮川政昭常任理事は、医薬品の分類と販売方法やその問題点、濫用の現状等について、日本医師会の見解を交えながら解説し、「一般用医薬品の濫用の現状やその問題については、認識があまり広まっていないため、まずはこの現状を知って頂くことが非常に重要である」として、その周知への協力を求めた。
 まず、同常任理事は、医薬品の分類と販売方法について、医療用医薬品、要指導医薬品、第1類医薬品においては、患者・購入者への情報提供は「義務」とされている一方で、第2類、第3類医薬品に関しては、情報提供は「努力義務」とされていること、要指導医薬品、一般用医薬品の取扱場所が「薬局又は店舗販売業」となっていることに懸念を示した。
 また、第1類、第2類医薬品に濫用等の恐れのある医薬品が一部含まれていることを指摘するとともに、対応する専門家が「薬剤師又は登録販売者」とされていること、一部濫用等の恐れのある医薬品が含まれているにもかかわらず、第2類医薬品の患者・購入者への情報提供は「努力義務」とされていることを危惧。
 その上で、濫用等の恐れのある医薬品の取り扱いについては、①購入者が子ども(高校生、中学生等)である場合は氏名や年齢を確認する②購入者が同じ医薬品を他店で購入していないか、既に所持していないか等を確認する③原則一人1包装で、複数の購入希望があった場合は理由・使用状況等を確認する―ことが求められるが、厚生労働省が行った医薬品販売制度実態把握調査では、濫用等の恐れのある医薬品を複数個購入しようとした時の対応状況について、「対応が適切であった」と回答した割合が、薬局では85・2%、店舗販売業では81・9%であるのに対して、インターネットでは67%となっていることを紹介。「適切な確認作業が行われていない」と、現状に問題意識を示した。
 更に、同常任理事は、嶋根卓也国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長による調査結果を基に、「2012年から2020年にかけて、市販薬を主たる薬物とする依存症患者が急増している」「気分を変えるため、決められた量や回数を超えて、市販の咳止めや風邪薬を使用したことがある高校生が約60人に1人で、その使用率は大麻の約10倍にもなっている」―ことなどを紹介。
 加えて、一般用医薬品による救急搬送事例の中で、摂取した製剤の種類では「総合感冒薬」が多く、「カフェイン」と「アセトアミノフェン」が致死量の摂取成分の大半を占めていることを説明。「致死量の摂取ができてしまう一般用医薬品は第2類医薬品と第3類医薬品が大部分であり、非常に大きな問題が起きていることを認識すべきである」と主張した。
 その上で、宮川常任理事は、オーバードーズ(薬物の過剰摂取)を行う中高生が増加している原因として、①OTCの過剰服用による危険性について、薬剤師のみならず登録販売者の知識が欠如している②第2類、第3類医薬品の過剰服用③日本では配合剤が多い―等があると分析。その改善策として、「医薬品の情報を学校医・学校薬剤師・養護教員だけでなく、全ての教員が教育の場で活用する」「依存性のある成分の医薬品は基本的にインターネットで購入できない米国のように、日本でも一定の規制を設ける」「小包装化や販売規制を検討する」ことを実施すべきと主張。「今後は、どのように規制するかだけではなく、どのように適正に販売、利用してもらうかも考えていかなければならない」と強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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