長島公之常任理事は9月29日の定例記者会見で、オンライン資格確認に対する日本医師会の見解と医療DXに関する政府への要望について説明した。
長島常任理事はまず、医療DXの推進が、「国民・患者の皆様への安心・安全でより質の高い医療提供」及び「医療現場の負担軽減」の実現に資するとの考えから、政府の医療DX施策に全面的に協力してきたことを報告。9月8日に開催された加藤勝信前厚生労働大臣との「医療DX推進に関する意見交換会」において、松本吉郎会長が表明したとおり、マイナ保険証による受診は今後の医療DXの基盤となる重要な第一歩であり、政府と協力し、その活用が進むよう、今後より一層尽力していきたいとの考えを示した。
その上で、マイナ保険証を使ったオンライン資格確認の利点として、患者の本人確認と同意取得を行った上で、全国医療情報プラットフォームで提供されるサービスを利用し、過去の診療情報や薬剤情報を正確かつ迅速に参照できることで、従来以上に安心・安全でより質の高い医療の提供につながると指摘。政府や歯科医師会、薬剤師会とも協力し、マイナ保険証による受診促進ポスターを作成する他、医療現場において診療情報を活用したエピソードや工夫などの好事例を収集し、全国で横展開するなど、マイナ保険証活用促進の取り組みを進めていく意向を明らかにした。
また、マイナ保険証のひも付け誤りや医療現場でのシステムトラブルの課題の払拭が医療DX推進の大前提であると同時に最大の普及策でもあるとして、政府が8月に公表した今後のひも付け誤り再発防止対策と国民の信頼回復のための「政策パッケージ」の確実な実行を求めた。
更に、マイナ保険証を使う患者増加に対応するためには、医療機関の窓口の体制強化が必要であることから、カードリーダー増設の追加補助も病院に限らず、患者数の実態に応じた補助とすべきであるとした他、今後、必要な情報を見やすく、使いやすい仕組みに更改していくための改修支援を求めるとともに、政府に対しては、サイバーセキュリティ対策も含めた、医療DXに掛かるコストに対する公的支援の拡充、並びに現場の負担軽減に向けた取り組みと情報発信を強く要望した。
その上で、長島常任理事は今後について、「丁寧な課題解決の積み重ねと実感できるメリットの提供」が重要だとするとともに、日本医師会としても医療機関が自ら進んで医療DXを導入するような、また、国民・患者が進んでマイナ保険証を取得するような環境づくりに引き続き取り組んでいく姿勢を示し、理解を求めた。
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