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令和5年(2023年)11月5日(日) / 日医ニュース

適切な財源を確保するため、国民運動を展開していくことを採択

適切な財源を確保するため、国民運動を展開していくことを採択

適切な財源を確保するため、国民運動を展開していくことを採択

 第18回国民医療推進協議会(以下、国医協)総会が10月10日、日本医師会館小講堂でWEB会議により開催された。
 当日は42構成団体のうち、38団体が出席し、日本医師会から提案を行った「国民医療を守るための国民運動」の活動概要案並びに決議案が賛成多数で採択された。

 総会は釜萢敏日本医師会常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎国医協会長(日本医師会長)は、秋の経済対策、更には年末の予算編成に向けて、政府の議論が本格化してきていることに触れ、「国民の生命と健康を守るためにも、医療・介護分野等における物価高騰と賃上げへの対応が不可欠であり、必要財源を確保することが大変重要である」と強調。構成団体に対して、引き続きの協力を求めた。
 続いて、3名の国医協副会長からあいさつが行われた。
 高橋英登国医協副会長(日本歯科医師会長)は、「日本が誇る国民皆保険は、今、構成団体の皆さんの犠牲の下に維持できている。その状況を少しでも改善するため、皆さんのお力もお借りして、必要な財源が確保できるよう頑張っていきたい」と述べた。
 山本信夫同副会長(日本薬剤師会長)は、「毎年実施される薬価改定により、薬局経営は厳しい状況にあり、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスという事態も引き起こしている」として、必要な財源の確保を求めた。
 高橋弘枝同副会長(日本看護協会長)は医療・介護分野での最大の課題は人材確保であり、その解決のためには賃上げや医療DXの推進が不可欠だとして、そのための財源確保の必要性を強調した。
 議事では、茂松茂人日本医師会副会長が国民運動の展開について、その趣旨を説明した。
 茂松副会長は、まず、国民目線による国民本位の医療について触れ、平成13年(2001年)に大阪府で開催した、「医療制度改悪に反対する大阪府民1万人集会」や国民医療推進協議会設立の経緯などを紹介。
 令和6年度の予算編成に向けては、「財務省等が医療費削減やマイナス改定を強く主張してくると見込まれ、非常に厳しい議論となる」と指摘。その上で、①9月に公表された医療費の動向の中の医療費(収入)だけを見ると、医療機関の経営状況は良くなっているように見えるが、オミクロン株の流行によるコロナ患者数の急増など、コロナ対応が主な要因である②コロナ対応で医療費(収入)が増えたことは、医療界が一致団結して、コロナにしっかり向き合って対応した証である③感染対策経費の増加、追加的人員の確保など、感染拡大に対応できる体制を築くためのコスト(支出)も上昇している④コロナ対応を除くと、コロナ前の水準以下であり、2020、2021年度のコロナ禍による医療費減少のダメージはそのまま残っている⑤昨今の水道光熱費、食材料費等の物価高騰に対し、診療報酬は公定価格であるため、負担増を他に転嫁できない―ことなどを概説。「2023年度春闘の平均賃上げ率が3・58%、人事院勧告が3・3%で実現されているが、医療・介護分野の賃金上昇は公定価格の下で半分程度の水準(1%台)にとどまっている。医療・介護分野従事者約900万人の賃金を上げることが先決であり、これにより、全国津々浦々まで、物価高騰対応や賃金上昇の波を行き渡らせ、わが国全体の賃金上昇と地方の成長の実現を見込むことができる」と述べるとともに、賃上げは「従来の改定」とは別に対応する必要があるとした。
 また、令和6年4月より恒常的な感染症への対応がなされることを踏まえ、協定を結んだ医療機関は次の流行に備えた体制整備が必要になることや、電子カルテの整備、サイバーセキュリティ等の医療DXにも財源を確保しなければならないことなども説明。
 その上で、茂松副会長は「国民の生命と健康を守るため、医療・介護分野における物価高騰・賃金上昇に対する取り組みを進め、国民に不可欠、かつ日進月歩している医療・介護を提供しなければならない」と強調し、理解と協力を求めた。

総決起大会を開催

 引き続き、角田徹日本医師会副会長が今回実施する「国民医療を守るための国民運動」の活動概要案の具体的内容として、(1)運動期間を令和5年10月10日から12月下旬までとする、(2)国民集会「国民医療を守るための総決起大会」を別掲の要領で開催する、(3)都道府県医療推進協議会に対する協力依頼(①都道府県医療推進協議会主催の地域集会の開催・決議採択②地方議会会期中の都道府県においては、地方議員・議会に対し、地方自治法第99条にのっとった意見書を国会等に提出③国民集会への参加を行う)、(4)全国各地からの決議文及び国民集会の決議文をもって、政府関係各方面へ上申する―方針を説明。続いて決議案を読み上げ、構成団体に対して「これをもって、積極的な活動展開をお願いしたい」と要請した。
 その後、採決に移り、活動概要案並びに決議案は賛成多数で採択され、総会は終了となった。

決議
 長らく続く物価高騰には、一時的ではなく、恒常的な対応が必要である。また、支え手が減少する中での人材確保が不可欠であり、政府からも持続的な賃上げが呼び掛けられている。
 しかしながら、公定価格により運営する医科歯科医療機関、薬局、介護施設等は、その上昇分を価格に転嫁することができない。物価高騰と賃上げ、さらには日進月歩する技術革新への対応には十分な原資が必要である。
 国民の生命と健康を守るため、医療・介護分野における物価高騰・賃金上昇に対する取組を進め、国民に不可欠、かつ日進月歩している医療・介護を提供しなければならない。
 よって、適切な財源を確保するよう、本協議会の総意として、強く要望する。
以上、決議する。
 令和5年10月10日
国民医療推進協議会
「国民医療を守るための総決起大会」
日時:12月4日(月)午後3~4時
会場:日本医師会館大講堂

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