令和5年(2023年)11月15日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース
令和6年度診療報酬改定に向けた日本医師会・四病院団体協議会合同声明
日本医師会・四病院団体協議会合同記者会見
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松本吉郎会長は11月15日、島弘志日本病院会副会長、猪口雄二全日本病院協会長、加納繁照日本医療法人協会長、長瀬輝諠日本精神科病院協会顧問と共に記者会見を行い、令和6年度診療報酬改定に向けた日本医師会・四病院団体協議会合同声明を公表した。
松本会長はまず、今回、四病協と声明を取りまとめるとともに、合同記者会見を行った意義について、「財務省による医療界を分断するような動きがある中で、診療報酬改定の大きな方向性において、医療界が一体・一丸となって声を一つに歩んでいくべきとの強い思いがあったからだ」とした。
また、賃上げについては、これまでの主張を述べた上で、物価高騰への対応については、30年近く類を見ない物価高騰の局面を迎えており、今後も物価高騰が見込まれる中においては、緊急避難的な対応だけでなく、恒常的な対応が必要とした他、公定価格により運営する医療機関等は、その物価高騰、人件費等の上昇分を価格に転嫁できないことを指摘。11月10日に閣議決定された補正予算において、入院中の食事療養等への新たな対応や光熱費等の物価高騰への継続支援が取りまとめられたことについても、「あくまでも当面の対応であり、今後、診療報酬改定でしっかりと対応して欲しい」と述べた。
その上で、松本会長は、「国民の生命と健康を守るためには、医療・介護分野における物価高騰・賃金上昇に対する取り組みを進め、質の高い適切な医療・介護を安定的に提供しなければならず、そのためには、人事院勧告3.3%を大きく上回る賃上げと物価高騰、日進月歩する技術革新への対応には十分な原資が必要不可欠」と主張。今後は、令和6年度診療報酬改定に向けて、大幅な診療報酬引き上げの改定となるよう、本会見の内容を踏まえた声明をもって、病院団体を始めとする医療界が一体・一丸となって、政府・与党に対して働き掛けを行っていく姿勢を示した。
島日病副会長は、日病からの意見として、物価高騰や賃金上昇などにより、病院では経営環境の厳しさが増していることから、令和6年度診療報酬改定においては、特に入院基本料の引き上げを強く要望する考えを表明。全国の病院から入院基本料の引き上げに関する嘆願書を募ったところ、日本の病院の半数以上から嘆願書が提出されたことを明らかにし、日本中の病院からの悲痛な訴えであると捉えているとの認識を示した。
その上で、財政制度等審議会財政制度分科会において、診療報酬の本体をマイナス改定とすることが適切とされたことに対して、「仮に入院基本料の引き上げがなされなかった場合には、人件費や設備維持費などの費用を制限することにつながり、その結果、入院医療の質を担保できなくなる」との懸念を示した。
猪口全日病会長は、まず、本年10月以降の重点支援地方交付金の措置が講じられたことに謝辞を述べるとともに、来年4月以降の改定においても、同様の措置または診療報酬改定がなされることを強く要望。その一方で、重点支援地方交付金は、その使い道の決定権が都道府県にあるため、地域によって差があることを指摘し、都道府県に対して、確実に各医療機関に補助を行うよう求めた。
加納医法協会長は、民間病院の立場から医療機関の窮状を解説し、「2023年では医業利益率マイナス1.2%を下回り、ほとんどの民間病院で赤字が出てくる」とするとともに、このまま赤字経営が数年続けば、日本の医療を支えている民間病院が閉院してしまい、医療体制が崩れてしまうとの危機感を示し、「次回の診療報酬改定では、これまでにない大幅なプラス改定を求める」と強く要望した。
長瀬日精協顧問は、医療機関への支援として、光熱費関係、食材料費関係が重点支援地方交付金の対象に加えられたことに関して、日本医師会や厚労省などに対して謝意を述べた上で、物価高騰に係る対応及びコメディカルの賃金の引き上げについて解説した。
また、財務省が、新型コロナ対応で医療機関は潤沢に内部留保があると喧伝し、内部留保から賃金引き上げ分の原資を賄うよう主張していること触れ、「内部留保のある医療機関はほとんどなく、あってもごく一部である」と反論。松本会長が以前の会見で「ストックは賃上げの原資とするものではなく、フローによって賃上げを行うべき」と述べたことに賛意を示し、「持続的な賃上げを行うためには診療報酬での対応が最適である」として、大幅なプラス改定を要望した。
記者との質疑応答の中では、日本医師会と四病協は口を揃えて、「役割分担の違いはあるけれども全ての病院と診療所はしっかり連携して、患者に対して一連の治療を行っており、分断した評価はありえない」と強調した。
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