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令和6年(2024年)1月20日(土) / 日医ニュース

通院弱者とDX

 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されて9カ月が経過した。観光地も街中も海外からの観光客を含めてにぎわいを見せている。
 医療機関でもコロナ禍で通院を控えていた患者が久しぶりに通院を再開し、変わりない患者もいるが、残念なことに病気が進行してしまった患者も散見される。治療を再開するのだが、診療を継続できないコロナ禍とは別の問題が生じている。
 コロナ禍で経済が停滞し転職を余儀なくされ、都会へ働き手が移動したが故に、地方では働き手が少なくなり人手不足にあえいでいる。バスの減便、タクシー台数の減少といった公共交通機関の利便性の低下は、交通弱者の行動範囲を大きく制限し、通院や通学などの足かせになっている。
 通院の足が無くて通えない高齢者も多く、ならばとオンライン診療も可能と伝えると、「スマホも無いし、そんなの分からない」という返事で診療継続につなげることができない。治療を継続する必要のある患者の中には、医療DXにもアナログのサービスにもあずかれない方が一定数いる。
 田舎の県庁所在地の話ではあるが、笑い話では済まされない問題だ。人手の少ない田舎こそ自動運転のバスやタクシーがあれば良いと思うが、自動化・デジタル化が叫ばれる中、オンライン資格確認導入と同様に新たに管理や周辺作業が増えて別の人手が欲しくなるならば、田舎は取り残されかねない。
 DXについて国は誰一人取り残さないと言っていたがどうなることか。

(SK)

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