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令和6年(2024年)3月5日(火) / 日医ニュース

かかりつけ医は全人的医療をめざす

 現代医療は高度な専門化と、診療科目の細分化と縦割りが進み、人間の身体を統合的に診るという視点を忘れがちである。体を遺伝子や分子レベルで解析、治療することが可能になった今こそ原点に立ち返って、喜怒哀楽の感情を持った人間を統合的に診断と治療する全人的医療が必要となっている。
 「どんな訴えも診察し、必要とあれば専門医を紹介し、生活や人生についても相談に乗る」、このような役割を担うかかりつけ医は、「病気を診るのではなく人を診る」全人的医療にふさわしい立場にある。
 臨床現場でさまざまな疾患に接していると、その発症の原因や経過に心理社会的因子が深く関係しているのではないか、逆に不安や抑うつ状態が身体症状を生じさせているのではと気付くことがある。過度のストレスがかかり、免疫が落ちると風邪などの感染症にかかったり、環境の急激な変化の後に循環器疾患やがんが発症したりするのは、内的・外的ストレスが自律神経や免疫の制御系システムを乱し、疾患の発症や進展に何らかの関与をしているからではないだろうか。
 胃部の不快感や吐き気、胸の動悸や息苦しさを訴えて、それぞれの専門医を受診するも異常なしとされ、結局、身体的疾患ではなく、心理的治療が解決することも多々ある。体と心のどちらの領域にも精通している「かかりつけ医」が診断と治療をすれば、効率的で的確な医療がなされるはずである。そして、心身の両面から診る全人的医療の姿勢は、決してかかりつけ医だけのものではないことを忘れてはならない。

(文)

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